新年を迎えても、譲れないものは譲れない。西武涌井秀章投手(24)が5日、西武ドーム内で3度目の契約更改交渉に臨んだが、これまでと同じ現状維持の2億円プラス出来高の提示を保留。自身初の自費キャンプや年俸調停も辞さない悲壮な覚悟で、球団側に評価の再考を訴えた。

 初めての越年交渉となった今回、約1時間半話し合っても納得できなかった。「自分の希望額を初めて伝えましたが、何にも変わりませんでした」。次回から代理人に交渉を一任して自身はシーズンに向けた調整に専念するが、1歩も退くつもりはない。前田球団本部長は「現在のところ(条件の)見直しは考えていない。キャンプまでに契約できれば」と話すが、涌井は「ベースの上積みがなければサインできない」とキッパリ。さらに「最悪の事態を考えなくもない。自費キャンプや年俸調停は悪いことじゃない」と、あらゆる選択肢を視野に入れていることを明かした。

 昨季チームトップの14勝(8敗)。球団からは一貫して後半戦の不調を指摘される。「確かに内容は悪いけど(全部が)早い回でのノックアウトじゃない。しっかり(投球内容も)見てると言ってたけど、結果だけに思えてしまう」と評価方法自体に疑念が生じている。

 5年間先発ローテーションを守り、西武を支えてきたエースだからこそ、言えることがある。「(14勝で現状維持だと)どこまでやればいいんだろうという疑問が起きる。みんなもそう思ってるだろうし、次の世代だっている」と、チームのためにも徹底的に話し合うつもりだ。【亀山泰宏】