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 日本プロ野球のカリスマ的存在の1人になった、ダルビッシュ。その素顔は、外見も含めたクールなイメージとは違い、人間味、おとこ気にあふれている。キャンプ期間中の2月26日、第2子の次男が誕生した。最愛の紗栄子夫人をねぎらい、こう感謝の気持ちを伝えたことを照れ笑いしながら明かした。「お疲れさま。後の人生はゆっくり」。そして、こう続けた。「(出産は)大変どころじゃないことなんで…」。そんな相手を思いやることができる、繊細な感性。1球ごとなどに打者の反応を見ながら、投球を組み立てていく。少なからず、打者と対した時に敏感に反応するセンサーの感度の良さへと、つながっているだろうと感じる。

実は古風そして実直…おごらない23歳

日本シリーズの決戦に向けて、飛行機で新千歳に戻ったダルビッシュ(2009年11月6日=撮影・宮崎幸一)
日本シリーズの決戦に向けて、飛行機で新千歳に戻ったダルビッシュ(2009年11月6日=撮影・宮崎幸一)

 1人のプロ野球選手である前に、夫であり、父であり、1人の人間である。さらにチームを背負うエースという重責を担うには、さらに高い人間性が求められると言っていい。周囲の信頼を集めるには「人間性」も、重要な要素の1つであるだろう。ダルビッシュの素顔を表す、エピソードがある。外食などの食事の際には、必ず両手を合わせて「いただきます」、「ごちそうさまでした」と声を出すという。年齢を重ねるにつれ、また野球界という特別な枠組みの中で、おろそかになりがちな人間としての礼儀、作法ということを、律義に貫き続けている横顔に、周囲が驚かされた話を聞いたことがある。

 揺るがない立場を築いても、おごることがない人間性。チームとの団体行動の中でも時折、垣間見えてくる。全員一緒での飛行機での移動時。実績的には、主力らが使用することが多い、1機に数席しかない、席間が広いシートを選択できる「権利」を持っている。だがダルビッシュは年上の選手に譲り、普通席を率先して選ぶという。試合でも相手球団に、親交のある年上の選手がいれば練習が一区切りするまでじっと待ち、あいさつを欠かさない。日本社会で崩れつつある年功序列を重んじる、古風で実直な性格。23歳の若さにして、たぐいまれな人間力も、マウンドでの圧倒的な仕事を遂げる源といえるだろう。

イチローも脱帽したTシャツ&サンダル

WBC日本代表候補合宿で、シート打撃でイチローと対戦したダルビッシュ(2009年2月18日=撮影・加藤哉)
WBC日本代表候補合宿で、シート打撃でイチローと対戦したダルビッシュ(2009年2月18日=撮影・加藤哉)

 昨年3月のWBC。韓国との決勝で1点リードの9回にクローザーで起用され、一時は同点とされながらも延長10回に、マリナーズ・イチローの決勝打が飛び出して胴上げ投手になった。紗栄子夫人はスタンド観戦。優勝後の会見では「奥さんに合わせる顔がないと思った」とウイットに富んだトークで、記者会見場を笑いの渦に巻き込んだ。そしてオチが、イチローのツッコミだった。自身はユニホーム姿で晴れの会見に臨んだが、Tシャツ、サンダル履きで質疑応答を受けていたダルビッシュの姿を見て「おい、私服かよ」。苦笑するダルビッシュに、さらに会場は爆発。天才打者をあぜんとさせた、おちゃめな人柄で、周りを引きつけた。1人の人間としての深みと、幅。今のダルビッシュへと至るには、欠かせない人間力だったといえるだろう。【日本ハム担当・高山通史】



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