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佑が持つ知恵と工夫

ブルペンで軽めに投げ込む日本ハム斎藤佑樹
ブルペンで軽めに投げ込む日本ハム斎藤佑樹

 野球のない春を迎えるのはずいぶん久しぶりですが、見る側になるのも悪くないものです。今週からこのページで私、仁志敏久の野球話にお付き合いください。

 今年は注目される新人が各チームに加入し、新しい風に多くのファンが期待を抱いている事でしょう。中でも日本ハムの斎藤佑樹投手への期待は、実力と共に人気面でもプロ野球界は大きな期待を抱いており、記憶に残るスターの出現は社会的に見ても大きな影響力を及ぼすこととなるはずです。彼は高校生の頃から周りの期待だけが一人歩きをし、時には自分の意志とは違う期待をかけられながらもそれに応えるべく努力をして来ました。プロに入った今、体格的な事も含めて「難しいのでは」という人もいますが、彼がこれまで一人歩きした自分の名声に追いつこうといくつもの壁を乗り越えてきた事は、同じルーキーの中でも突出したものがあり、特に自分の資質で勝つためにはどうしたらいいのかという知恵と工夫はベテラン選手にも引けを取らないものがあると思います。また、早大からは西武に大石投手、広島に福井投手が入り、刺激し合える存在がいることで斎藤投手には実力を早くから発揮できる環境にもなっています。

 もう1人の逸材はジャイアンツの沢村投手でしょう。個人的には沢村投手が1年を通してどの役割をこなすかということも注目すべきところです。もちろん先発でのスタートということは間違いないところではありますが、個人的にはあの威力あるストレートを生かして抑えという発想も将来的には面白いような気もします。

オリ駿太はイチロー彷彿

オープン戦で二塁打を放つオリックス駿太(しゅんた)
オープン戦で二塁打を放つオリックス駿太(しゅんた)

 また、大卒ルーキーの陰になった形になってはいますが私が注目したいのは、オリックスの駿太選手。俊足を生かしたプレースタイルは、イチロー選手を彷彿させるものがあり、将来的にもオリックスの看板選手となり得る逸材です。もちろん、まだまだ吸収すべきことはあるはずですが、彼の能力の高さはプレーのスピードを見れば一目瞭然で、早い段階でどんどん使ってもらって勉強する方がレギュラーへの近道にはなるかもしれません。

 とにかく新人というのは全てが未知であり、どの順番で入ったかは問題ではなく、毎年入るルーキー全てにスターの権利はあります。そういった意味で去年飛躍のきっかけをつかんだ選手にも今年は注目です。ロッテの清田選手、荻野選手、横浜の筒香選手など、昨年の勢いを今年は更に伸ばせるかというところにも楽しみがあります。

 近年、ダルビッシュ投手や広島の前田投手のように若い世代が球界を 引っ張り、日本の野球自体がレベルアップをしてきています。私達OBにはその野球界をもっと価値あるものにしていく使命があります。楽しさ、凄さ、難しさなど、ファンの皆さんがよりプロ野球選手の価値を感じてもらえたらと思っています。とにかく今年はルーキーを含めた若い選手達、名付けて「NPB48」の時代が始まる年であると言っても過言ではありません。私も球場やCS放送などで活躍を見守りたいと思います。皆さんも是非球場に足を運んで「会いたかった~」という選手を応援してください。

仁志敏久(にし・としひさ)
仁志敏久(にし・としひさ)
 1971年(昭46)10月4日生まれ。茨城県出身。常総学院高では1年夏に遊撃のレギュラーとして2学年上の島田直也投手とともに甲子園準優勝。夏の甲子園は3年連続出場。早大では4年春に早慶戦史上初のサヨナラ満塁弾を放つなど、当時リーグ最多タイ記録の1シーズン6本塁打。日本生命を経て、95年ドラフト2位で巨人に逆指名入団。1年目から活躍し96年新人王。99年6月25日広島戦でサイクル安打。99~02年二塁手でゴールデングラブ賞。07年小田嶋プラス金銭でのトレードで横浜移籍。09年退団。翌10年に米独立アトランティックリーグ・ランカスター入団。31試合出場で打率2割8厘、1本塁打、3打点。同年6月引退。先頭打者本塁打24本はプロ野球歴代7位。日本でのプロ通算は1587試合出場で打率2割6分8厘、1591安打、154本塁打、541打点。右投げ右打ち。171センチ、80キロ。

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