一刀流で三刀流に挑む!

 WBC日本代表の鳥谷敬内野手(31)が、グラブの1本勝負を掲げた。21日に宮崎代表合宿を打ち上げた。侍ジャパンでは二塁レギュラーを争いながら、本職の遊撃に三塁守備も期待される立場。あえて三塁用グラブを使わず、遊撃用グラブ1本で世界の舞台に立つ。

 長年培ったミリ単位の感触を大事にする。侍ジャパンでは松井と二塁レギュラーを争う一方で本職遊撃、三塁守備も期待される。それでも鳥谷はあえてグラブ1個で勝負する。「これまでと同じものでいきます」。三塁用グラブを使うつもりはないという。

 代表合宿最終日はマルチに動き回った。シートノックで二塁、三塁を守り、特守では遊撃守備をみっちり鍛えた。ライバル松井と同じメニューをこなし、いよいよレギュラー争いが激化する。高代内野守備走塁コーチは鳥谷の守備に「セカンドはしぶといな。球際に強い。セカンドもサードも合格点をあげられる」と高評価。確実に存在感は増している。

 練習後は午後4時近くまでウエートルームにこもり、侍戦士28人の中でもっとも遅く球場を後にした。残りの全選手がすでに出発しており、チームバス1台を1人で貸し切った形になった。連日のように朝は早出ウエート組に入り、夕方は時間が許す限り球場に残って体を鍛え抜いている。「ゆっくりやっているだけですよ」とはぐらかすが、代表メンバーとしての責任感は人一倍強い。

 鳥谷

 代表は初めての経験なので、自分の役割をしっかりできるようにしたいですね。今まで通りに、です。

 前日20日に最終メンバー28人入りを決めても、練習量は一切減らない。黙々と鍛錬を積む鳥谷なら、世界の舞台でも野球の神様がほほ笑んでくれるはずだ。【佐井陽介】