<WBC:韓国3-2台湾>◇5日◇1次ラウンドB組◇台湾

 WBCの「黄金カード」が消滅した。1次ラウンドB組最終戦で、前回準優勝の韓国が地元台湾を下し2勝1敗としたが、当該3チームによる得失点率により3位が決定。上位2チームが進める2次ラウンドの出場権を初めて逃し、宿敵日本と対戦できぬまま大会を去ることになった。

 これほどむなしい勝利もないだろう。韓国は8回、姜正浩に逆転2ランが飛び出し、抑えの呉昇桓が9回を締めても、勝利の輪に向かう足取りは重かった。8回の攻撃を迎えるまで0-2。後攻で「6点差以上の勝利」と酷な突破条件を突きつけられたナインに、8回だけで8点を奪う余力は残っていなかった。柳仲逸(リュ・ジョンイル)監督は「第1回は4強入りし、前回大会は準優勝して野球大国になった。今回は2次ラウンドにも行けず、謝りたい」と力なく話した。

 早過ぎる終戦だった。逆境に強い不屈の虎が、牙をむく間もなく劣勢を強いられた。韓国は3回、中堅手が捕球にもたつく間に一塁から陽岱鋼(日本ハム)の生還を許し、続く4回には陽岱鋼に今度は中前適時打を浴び、重すぎる2点ビハインドを背負った。

 柳仲逸監督が「史上最低の試合の1つを見せてしまった」と指摘したように、初戦のオランダに完敗して歯車が狂った。3安打1打点でオーストラリア戦の勝利に導いた前オリックス李承■も「まだ笑うことはできない」と危機感を抱いて球場入りした。韓国は92年に中国と国交を結ぶと同時に台湾と国交断絶した政治的背景もあり、スタンドは完全アウェー。過去2回はいずれも完封勝ちした台湾が、大きな壁で立ちはだかった。

 4回は2死満塁で代打の前ロッテ金泰均が中飛に倒れ、5回は4番李大浩の長打で生還を狙った一塁走者が本塁で憤死するなど、過去最強のうたい文句だった打線が本領を発揮できぬまま終わった。指揮官は「ベストのコンディションに遠い」と台湾合宿中から異変を感じており、日本と別組になったことによるモチベーション低下がささやかれた。韓国メディアからは「食事が合わないのでは」と、これまでの沖縄からキャンプ地を変更した韓国野球委員会(KBO)の責任を問う声が噴出。雪辱のため4年待った日本への挑戦権すら手にできず、国民にもやり場のない怒りの声が充満しそうだ。

 ◆同率チームの優先順位決定

 (1)直接対決で勝利(2)同率チーム同士の対戦のTQB=(得点÷攻撃イニング)-(失点÷守備イニング)が大きいチーム(3)(相手自責点による得点÷攻撃イニング)-(自責点÷守備イニング)が大きいチームの順(3位まで)。B組は台湾、オランダ、韓国が2勝1敗で並び、(2)のTQBを適用。3チームの攻撃回、守備回とも17回で、台湾は10得点と6失点、オランダは8得点と8失点、韓国は3得点と7失点。TQBは1位台湾が0・24、2位オランダが0・00、3位韓国がマイナス0・24になる。※■は火ヘンに華