<WBC:日本3-6キューバ>◇6日◇1次ラウンドA組◇ヤフオクドーム

 日本代表がワールド・ベースボール・クラシック(WBC)2次ラウンド(R)に向けて不安の残る敗戦を喫した。1次R最終戦でキューバに敗れ、2勝1敗の2位で1次Rを終えた。不振の打線を組み替えて臨んだが、8回まで5安打無得点。9回に3点を返したとはいえ、貧打の課題は解消されないままだった。8日の2次R初戦は台湾戦。打線の大幅テコ入れも視野に侍打線をよみがえらせる。

 完敗した。侍ジャパンが「赤い稲妻」に、力負けした。6点を追うワンサイドゲームの9回に3点は返したのが、せめてもの見せ場だった。1次Rは2位通過。過去2度の大会で3連勝中、うち2完封勝ちと追われる立場だったキューバに、初めて屈した。パワーにチーム戦術。すべてで圧倒された。山本浩二監督(66)は、潔く認めた。「次の戦いが始まるという気持ちで臨みたい。敗戦を反省して、新しいラウンドに入るだけです」。

 脅威の総合力を見せたキューバに圧倒された。特大弾で3回に先制された。4、6回には打線につながれ、追加点を奪われた。8回にはダメ押しの3ランを喫した。やりたい野球を、目の前で見せられた。山本監督は「最後は粘ったんですが、それまでタイムリーが出なかった。チャンスはあったんですが(打線が)つながらないという試合でした」と精彩を欠いた野手陣を嘆いた。2、3回と得点圏に走者を進め、先制のチャンスはつくった。あと1本に泣き、主導権を逃したのが響いた。

 絶妙で、執念深い7投手の継投にも、かわされた。進塁打などチーム打撃に対する意識でも、キューバの方が上だった。4打数無安打、投手陣をけん引できなかった主将の阿部も危機感を募らせた。「力では勝負できないのが分かった。その辺は対策を練らないと。絶対に大事なところで当たるので、研究します」。2次Rでも対戦する可能性は十分ある。手綱を締め直す材料を見つけられたことは収穫。内川が欠場し、投手陣も主力級のカードを切らなかった。それでもこの日に関しては力の差、チームの成熟度は歴然だった。

 緊迫感が漂ってきた。明日8日の2次R初戦はB組1位で突破して勢いに乗る台湾。メジャー61勝右腕の王建民の先発が濃厚の情勢だ。山本監督は「こっちにはパワーがないわけやから」と、この日も振るわなかった打線の大幅なテコ入れを示唆。本番突入後の3試合で機能しなかった1、2番の再考を図ることになりそう。立浪打撃コーチは「少し腹をくくってオーダーを考えないといけない」と悲痛な覚悟を明かした。2番二塁に好調な井端の配置など、大きな改革に乗り出す可能性も出てきた。

 山本監督はショックも見せず、最後は声を大にした。「サンフランシスコは目標にしております」。最低のノルマに設定した米での決勝トーナメント進出へ。力が拮抗(きっこう)したライバルと戦う関門の2次Rだけに、大胆な一手がさく裂しそうだ。侍たちを動かし、揺さぶり、勝つための真剣勝負に出る。【高山通史】