<WBC:日本10-6オランダ>◇12日◇2次ラウンド1組◇東京ドーム

 手放しで喜べる試合ではなかった。2次Rを終え、1位でアメリカに乗り込む山本浩二監督(66)は、ファンに感謝の言葉を残した後、反省を口にした。「2回に8点取って逆転。早い回に追加点を取らないと、こういう試合になる」と表情は硬かった。

 序盤は“強い侍”を見せたが、中盤以降は全く逆。中継ぎ陣が打ち込まれ、ストッパー牧田も2安打されピリッとしなかった。フラストレーションと不安が募る原因は、準備不足からくる行き当たりばったりの攻撃と、見通しの甘さだろう。

 2失点の左腕森福は、左打者との対戦はこの試合の1打席だけ(三振)。調子の上がらない山口も左打者との対戦は2人だけ(2打数1安打)。左キラーのスペシャリストの起用法ではない。8回1死一塁の場面では、捕手の炭谷に代打稲葉を起用した。追加点のほしい場面だが、控え捕手がいなくなった。「キャッチャーのことは十分に考えていました。最後のイニングだったので」と山本監督の説明は苦しいものだった。

 この試合の追加点も、8日の台湾戦も、起死回生の盗塁で突破口を開いたが、本来の代走の切り札・本多は、盗塁する機会さえなかった。ただし、長野や田中など主力は上り調子。「あと2試合。頂点目指して頑張ってきます」。就任以来、前回覇者としては控えめな「米国へ行こう」という目標を掲げてきた指揮官からも、ついに威勢のいい言葉が飛び出した。勝ってかぶとの緒を締めよ-。1週間の準備期間を有効利用し、3連覇を目指す。【小島信行】