準決勝で先発する前田健太投手(24)は高まる感情を素直に表現した。「初めて米国の球場で投げる。(マウンドに)立った時は新鮮で、いいなぁと。これがメジャーかと思った」と笑みがこぼれた。ジャイアンツの本拠地AT&Tパークのマウンドに立ち、海からの風、独特な球場の形状、全てが刺激的だった。

 米国流の“洗礼”も受けた。公式会見の席上、米メディアから「将来的にメジャーに挑戦したいか」と聞かれた。日本では公の場では聞かれることがまれな質問。「非常に答えにくいですね。WBCで投げたので、国際大会での経験はいい経験になった」とかわそうとしたが「なかなか答えにくいので、ノーコメント」と頭をかいた。

 想定外の質問には困惑したが、投球プランは頭にある。WBCでは2試合に先発し、ともに5回無失点。肝になっている縦に割れるカーブについて「カーブをどれだけうまく使えるかがカギになるなと。うまく使えればいいピッチングができる」と断言した。抜群の制球力と打者の目先を変えるカーブを武器に、強力打線に対峙(たいじ)する。

 1次ラウンドでは同い年の田中から受けたバトンを、決勝トーナメントでは田中に託す。「(周囲が)すごく期待してくれているので、何とかいいピッチングをしたいなと。決勝にいけるように頑張ります」と力を込めた。「勢いがあるし、打ち始めたら盛り上がってくる」と分析するノリノリ打線を、前田健が黙らせる。【久保賢吾】