プレーバック日刊スポーツ! 過去の2月23日付紙面を振り返ります。2013年の1面(東京版)はマー君球数関係ねえ 今日豪州戦 浩二JAPAN1勝優先を報じています。

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 なりふり構わずゼロに抑えて勝つ! WBC日本代表は今日23日、オーストラリアとの壮行試合(京セラドーム大阪)に臨む。先発はエースの田中将大投手(24)。17日の広島戦に先発したが2失点し、チームも0-7で完敗した。3月2日、1次ラウンド初戦のブラジル戦(ヤフオクドーム)まで、実戦は残り4試合しかない。球数制限、ストライクゾーンなど確認事項は多いが、重視するのは自身の調整よりも結果。侍ジャパンを上昇ムードに乗せる。

 キャップを目深にかぶり、ずっと前を見つめていた。田中は公式会見を鋭い目つきで通した。山本監督、主将の阿部が場の雰囲気をほぐしても変わらなかった。「とにかく、前回の登板もあるので、ゼロに抑えたい」。シンプル極まりないテーマでオーストラリア戦の先発に臨む。

 3月2日のブラジル戦に向けた最終登板。本来ならば、確認したいことが山ほどある。本番仕様のため3日がかりで硬く仕上がっているマウンド。1次ラウンドの球数制限は65球とあり、ペース配分も試したい。さらに審判も外国人が務めるため、外角が広いとされるストライクゾーンも確認したいところだ。しかし、それより大切なことがある。「球数を気にしても…。(それより)しっかり、1人1人抑えていく。ストライクゾーンの中で勝負していく」。あくまで自分のスタイルでねじ伏せて抑える。そこに主眼を置く。

 無失点に抑える意味、それは侍たちを鼓舞することにある。17日、広島との強化試合に先発したが2失点。田中のつまずきに引きずられるように投打とも精彩を欠き、0-7で完敗した。「どんなことがあろうとも、ゼロに抑えなければいけなかった」。先陣を切る役割を果たせなかった自分が情けなかった。

 そこから調整のペースを一気に上げた。遠投にブルペンの連投。フォームの微調整に、スプリットの握りの微調整。なりふり構わず仕上げた。目指す投球については「もう、やることは先が見えている。スプリットも、投げられればいいですけど」と素っ気なく答え「ゼロに抑えたい。点を取られないように」と、結果に執着する言葉を繰り返した。

 08年の北京五輪も、09年のWBCも、先輩たちを追いかけることで精いっぱいだった。ダルビッシュ、松坂、岩隈。引っ張ってくれた面々はいない。「メジャーの選手がいないからダメ、と言われるのが一番嫌。今までの国際大会とは全然、違う立場にいる。中心となって、覚悟を持っていく」と腹をくくった。だからこそエースとしてチームの不安を一掃し、勢いをもたらしたい。

 オーストラリア・ディーブル監督の「田中の投げるボールは、すべて分かっている」という挑発にも乗らない。「シーズンでも、すべて分かられている中で投げている。変える必要は全くない」と一蹴した。会見が終わると帽子を取った。険しい顔のまま前を見つめて「ありがとうございました」と一礼した。流れを自軍に引っ張り込むのは真骨頂。侍たちをレッドゾーンに入れる。

 ◆2番手杉内→3番手能見 23日の試合は、田中の後を受け杉内、能見がスタンバイ。WBC1次ラウンドに向けた最終調整を行う。右肩に不安のある前田健は、問題がなければ、24日の第2戦に登板の予定。ブルペン投球一夜明けの前田健はこの日、キャッチボールなど軽めの調整だった。肩については「大丈夫です」とした。牧田、山口、今村、森福のブルペン陣も、壮行試合で登板の予定だ。

※記録と表記は当時のもの