侍ジャパンの主軸、日本ハム中田翔内野手(27)が20日、待望の初「あっぱれ」付きの金言を授かった。OB張本勲氏(76)が見守った沖縄・名護キャンプのフリー打撃で、強烈な向かい風の中、31スイングで柵越え3本。張本氏から脱力系フォームを大絶賛され、今季は打率3割、40~50本塁打が打てると太鼓判を押された。3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向け、ヒントをもらった。

 想定外の評価に中田もニンマリだ。強烈な浜風にあおられた中でのフリー打撃。背後から球団OB張本氏の熱視線を受けた。向かい風のため、遠くへ飛ばす気力はそがれ、力まない打撃フォームから31スイングで柵越え3本。不満げに終えたが、張本氏からは「今日みたいに静かに打ったら、WBCでも結果を残せる。今日は5、6年見てきた中で初めて良かったね」。思いがけず称賛された。

 中田は評価に恐縮しながら「あっぱれをもらえて良かった。ほめちぎられました」と、照れくさそうに喜んだ。直接、「あっぱれ」のセリフはなかったというが、称賛の嵐にノリノリで勝手に解釈。さらにシーズンで「(本塁打)40~50本で3割は打てる」と期待を寄せられ「札幌ドームはちょっと厳しいな…」と苦笑い。「遊び感覚で打ったら意外と良かった」と戸惑いながらも、プロ10年目で初の「あっぱれ」にモチベーションを上げた。

 自然体から生まれた打撃が、思わぬ高評価だった。張本氏から、打席に入ってからのルーティンに「バタバタ動きすぎると言われてきた」。肩の開きや腕を上げるしぐさなどが重しとなり、フルスイングに歯止めがかかっていると指摘されていた。この日はフリー打撃の前後で熱心な助言を受けた。「張本さんはさすが、理にかなったことを言ってくれている。毎回、感謝しています」。WBCに向け、大きなヒントをもらった。

 慢性的な痛みを抱える左手首は回復傾向も、実戦で4試合10打席無安打が続いている。「喝」「あっぱれ」でおなじみの歴代最多3085安打のレジェンドから、23日開始のWBC強化合宿(宮崎)前に、貴重な助言だった。「期待に応えられる結果を残して、お礼を言いに行きたい」。世界一の称号を引っさげ、再び「あっぱれ」を受け取りにいく。【田中彩友美】