WBCへ、照準を合わせた。侍ジャパンの楽天松井裕樹投手(21)が21日、日本ハムとの練習試合(名護)に7回から4番手で登板した。2死走者なし。カウント2-2からの5球目だった。142キロ外角直球で、3年目太田から空振り三振を奪った。前打者の杉谷に対しても、内角直球で一ゴロ。課題としていたWBC球での直球に、手応えをつかんだ。「ある程度、高さもそうですし、狙ったところに投げられた」。バッテリーを組んだ足立も「直球は今日が一番良かった。前回までは高かったけど、うまく自分の感覚で投げられていた」とうなずいた。

 WBC球を使用した過去3戦は、抜けたりすることが多かった。松井裕自身、「指にかかっていない」と感じていた。この日の試合は、もともと登板予定はなかったが、「納得する直球が少ない」という理由から志願の登板を果たし、1イニングを3者凡退。低めに制球された直球を軸に、曲がりすぎるくらいのスライダー、習得中のツーシームなどを織り交ぜ、わずか15球で“追試”を終えた。「マウンドに上がったかいがあった」と、すがすがしい表情を浮かべた。

 ブルペン待機という点でも成果を見いだした。実戦4試合目で初めて7回を経験した。楽天では守護神を務めるが、WBCの本大会では、起用が考えられるポジション。シーズン中のブルペンでは14球程度を投げて肩を作るが「乱打戦ということもあって、試合が長引いた。投げ始めて肩の状態もいい感じだったので、多めに24球を投げて準備した」と、臨機応変に対応してみせた。梨田監督からも「それなりに投げられていた。送り出せる準備ができた」と背中を押された。今日22日に代表合宿の宮崎へ移動する。「どんなところで登板しても、自分の力を出せるように頑張るだけ」と気合満点で、合流前最後の実戦を終えた。【栗田尚樹】