WBC日本代表の巨人菅野智之投手(27)が22日、練習試合・楽天戦(沖縄セルラー那覇)で今季初登板。3回を33球、1安打無失点に抑えた。本番を想定して設定した「3球勝負で球数減」「新球チェンジアップ」「WBC球」のテーマをクリア。先発予定の第2戦オーストラリア戦(3月8日、東京ドーム)に向けた手応えをつかみ、試合後には代表合宿地の宮崎へ旅立った。

 最高の結末に、抑えていた感情があふれ出た。3回1死一塁、楽天伊志嶺への5球目。外角に逃げるように沈むワンシームで遊ゴロを打たせた。ポーカーフェースだった菅野だが「狙った通り」と自画自賛の併殺打に、思わずグラブをたたいて喜んだ。侍ジャパン招集前に迎えた今季初実戦は3回1安打無失点。「いいスタートが切れました」と自然とほおも緩んだ。

 世界一奪還へ向け、自らに課したミッションをことごとくクリアした。WBCの球数制限対策として「遊び球はいらない。3球勝負でいきます」と宣言。この日は全9アウト中3球以内は4つで、打者9人に33球。ストライクゾーンでの勝負を挑み続け「球数もだいたい40球と見ていたけどだいぶ下回った」と納得の省エネ投球を決めた。この投球術を駆使できれば、65球制限の1次ラウンドで日本勢で初の6回を投げ抜くことも不可能ではない。

 新球チェンジアップも効いた。「左打者が多かったので、いけるところで初球にいってみようと小林と話をした」と2回1死で島内に初球で試投。球速は139キロとイメージよりもスピードは出たが1球で中飛に仕留めた。本番想定で硬くしたマウンドにも順応。WBC公式球も「最初に手にしてから時間もたつし、慣れたとかそういうレベルじゃない」と自在に操った。

 マウンド外の過ごし方にも気を配った。イニング間のキャッチボールを「WBCではベンチ前でできないので」と、ベンチ裏ブルペンを利用して肩を作る方法を試した。緻密に考え抜いた初実戦での満点“快投”に「思い描いた通りに投げられた」とうなずいた。

 登板後「引き続き自分のやって来たことをやるだけです」と決意を示し、侍メンバーが集う宮崎に向かった。3月1日の台湾プロ選抜戦登板をへて、本番のオーストラリア戦に臨む予定。侍のエースとして、頂点までの道筋を威風堂々と歩き出した。【浜本卓也】