侍ジャパンが、まさかの連敗発進となった。第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けた壮行試合が福岡ヤフオクドームで行われ、投手陣が台湾選抜に打ち込まれた。先発の則本昂大投手(26)が3回に2ランを浴びるなど3回3失点、後続の投手も失点を重ね、プロで代表を組むようになってからワーストの17安打を喫した。WBC直前の試合を連敗でスタートするのも初めて。小久保裕紀監督(45)にとって苦しい船出になった。

 則本の力が通用しなかった。14年から台湾プロ野球を連覇したラミゴの選手が中心の台湾選抜。直球が150キロ前後でも、膝より上では簡単にはじき返された。4安打を集められ先制を許し、勝ち越してもらった直後の3回。1死一塁で3番の王柏融を迎えた。「外からスライダーを入れようと思った」。昨季の台湾リーグで打率4割1分4厘、29本塁打、105打点をマークした看板打者は、制御の甘さを見逃さなかった。

 食らった瞬間、下を向いた。楽天では極めて珍しい、バックスクリーンまで運ばれる逆転2ラン。「あらためて、今まで通りではいけないと思いました。これで終わりではない。糧として、本番に備えたい」と話す以外になかった。フル回転が期待される大黒柱。7日のキューバ戦登板に向けての調整にしては、3回3失点は物足りなかった。2番手の牧田、3番手増井も強打を止められない。被安打17はプロで代表を組むようになってからのワースト記録だ。

 初対戦の投手ばかりの国際試合。「投手を中心とした守りのチーム」を掲げた小久保監督にとって、本番直前の乱調は本意ではない。台湾選抜は「WBC代表より強いと聞く。特に4割を打っている打者」と話していた通り、全体的にスイングが強く、ボールの制御を差し引いても力負けした。「非常に振れている。スイングスピードが速い。則本の結果は気にしていない。牧田も。試したいことがあっただろうし」。大きな軸である2投手はじめ、面々の修正能力に期待するしかない。

 過去3大会、WBC日本代表が直前の試合を連敗でスタートしたことはない。「勝つに越したことはないが、負けて収穫もある。3月7日に向けてしっかり上げていく」。個の状態を上げつつ、本番を想定し、細かな試合運びも試す。猶予は3試合だ。【宮下敬至】

 ▼日本代表は2月25日ソフトバンク戦に続いて黒星。WBC開催年の日本代表が1、2戦連敗スタートは初めてだ。この日は17安打を浴びて8失点。16年11月13日、強化試合オランダ戦で10失点(タイブレーク=○12-10)しているが、被安打の17本は小久保監督になって最多。プロで代表を組むようになった04年アテネ五輪以降の日本代表を見ても、08年8月9日、北京五輪の強化試合として行われたセ・リーグ選抜戦(●2-11)の16被安打を抜くワーストとなった。