犬にも負けない驚がくの「赤いスピードスター」がいた。7日に行われる侍ジャパンWBC初戦の相手、キューバ代表が2日、京セラドーム大阪で全体練習を行った。ガッツンガッツンとスタンドに放り込む豪快な野手陣の打撃練習を背にして、マルティ監督は注目してほしい選手に「19歳のセスペデス」を挙げた。ヨエルキス・セスペデス。兄は、メジャー通算5年で137本塁打の強打者、メッツのヨエニス・セスペデスだ。強打の兄に対し、弟の最大の武器は俊足。「タイムは計ったことがないけど、足に自信がある」。将来を嘱望される走攻守3拍子がそろう逸材だ。

 幼少期から走り回っていた。自宅で飼っていた犬とは常に足の速さを競っていた。「キューバでは一緒に走るのが当たり前。ブルテリアという犬種だったけど、ほとんど勝っていたよ」と、不敵な笑みを浮かべた。楽しみながら培った脚力は、デスパイネを中心としたパワーを押し出す攻撃陣のアクセントとなる。守っては右翼から強肩も発動する。打ってヨシ、守ってヨシ、走ってヨシで「全部を見てほしいね」。初めての大舞台で打順は下位となりそうだが、侍投手陣にとっては要注意人物となりそうだ。【木下大輔】