【マイアミ(米フロリダ州)9日(日本時間10日)=四竈衛】前回覇者のドミニカ共和国が、カナダに9-2で快勝し、白星スタートを切った。1次ラウンドC組が同地のマーリンズパークで開幕。ドミニカ共和国は看板の重量打線が先発全員の15安打、2本塁打で9点を奪うなど、傑出した攻撃力を見せつけ、連覇へ向けて好発進した。

 前回覇者の底力を、まざまざと見せつけた。2回裏、ポランコ(パイレーツ)の適時打で1点を先制した直後だった。なお1死一塁から、エンドランのサインに右打ちした9番カスティーヨ(オリオールズ)の打球は、放物線を描いて右翼席へ消えた。この日のスタメン9人の昨季総本塁打数は計251発。9番打者が逆方向へサク越えしてしまう事実こそ、最強ドミニカの証しだった。

 その一方で、したたかさも見逃せない。先制点は、無死二塁から昨季32本塁打のベルトレ(レンジャーズ)が、二塁ゴロで走者を三塁に進めた結果だった。3点をリードした2死一、三塁の状況では、通常は引っ張り傾向の強い4番バティスタ(ブルージェイズ)が、左寄りのシフトをあざ笑うかのような右打ちで一、二塁間を破り、4点目を挙げた。さらに6回裏には、そのバティスタが今度はフルスイングで引っ張って左翼へダメ押しの3ラン。「このチームは全員がクリーンアップ打者。僕もプレッシャーから解放されるよ」。剛だけでなく、柔も持ち合わせる破壊力に、現時点でスキは見当たらない。

 投げては、最速100マイル(約161キロ)をマークした先発マルティネス(カージナルス)が、4回1失点(自責0)と好投。ベタンセス(ヤンキース)、ロドニー(ダイヤモンドバックス)、ファミリア(メッツ)ら強力救援陣がつなぎ、カナダの追撃を封じた。

 全勝優勝した前回大会からこれで通算9連勝。11日(同12日)の第2戦は、早くもライバル米国と激突する。「積極的でありながら選球も良く、悪球に手を出さなかった。あとは、どんな相手であっても、全員で集中していくしかない」。最強軍団を率いるペーニャ監督の静かな口調に、確かな自信がにじんだ。