侍ジャパンが初の全勝突破で勢いをつけた。第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)1次ラウンド最終戦で中国に快勝。4大会目で初めて開幕からの3連勝を決めた。今大会初スタメンの田中広輔内野手(27)平田良介外野手(28)が、隙のないプレーで勝利に貢献。9番打者の小林誠司捕手(27)が2ランを放つなど、地力の差をみせた。12日の2次ラウンド初戦はオランダと対戦する。

 侍に伏兵などいなかった。スタメンを入れ替えて臨んだ中国戦に快勝し、WBCでは日本代表初の3連勝発進だ。スタートダッシュを決めた小久保監督は「順位が決まってから入りが難しかったが、休ませる選手は休ませ、投げていない投手も投げた。いい働きをしてくれた」とうなずいた。

 青木、坂本勇を休ませて先発起用した2人の侍が、日本野球のストロングポイントを体現した。1回1死三塁から田中が浅い右飛でタッチアップで先制のホームイン。「体が伸びた捕り方をしていたので」と捕球体勢の隙を見逃さなかった。

 3回には平田が守備でみせた。無死一塁での右飛をキャッチすると、間髪入れず一塁へ送球。「捕るふりをしたとき走者が飛び出していた。うまく引っかけられたと思ったんですが…」。アウトには出来なかったが、抜け目ないプレーをみせた。

 前夜、オーストラリアが中国を下し、1次ラウンド1位突破が決定。ともすれば雑なプレーになってしまう可能性がある中国戦でも、集中力を切らさなかった。12日の2次ラウンド初戦の相手はメジャーリーガーが顔をそろえるオランダ。パワーではかなわない相手に勝るには、隙のない走塁、守備の精密な野球が不可欠。ここまでの2戦は控えに回り、昨年12月に先行発表された代表メンバー18人には入っていなかった2人が、しっかり仕事をしてみせた。

 世界一奪還に向け、大きなヤマ場となる明日12日のオランダ戦。小久保監督は「2次ラウンドはやはり先発。80球投げる。ある程度、5回くらいまでは。その後のつなぎも大事になってくる」とした上で「点を取らないといけない」と引き締めた。高い投手力と堅い守備でリズムをつかむ。そつのない走塁で重圧をかける。ワンチャンスを確実にものにする。それが日本野球の強さ。侍たちが大一番へ向けて、準備を整えた。【佐竹実】