ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で初出場のイスラエルが1次リーグを3戦全勝で突破して台風の目となっている。野球とはなじみのない国の快進撃。

 前回大会で4強入りして旋風を起こしたオランダに続く躍進で、北中米とアジアに偏っていた野球界に新風を吹き込んでいる。

 1次リーグから冷静沈着なたたずまいは変わらない。イスラエルのウェインスタイン監督は「相手どうこうよりも、自分たちができることをする」と泰然と構えている。

 昨秋の予選を勝ち抜いて初出場を果たすとA組で3連勝し「層が厚い。タイプが違う投手がいるので、相手が打つことは難しいと思う」と自信をのぞかせる。米大学球界での指導歴が長く、短期決戦の戦い方も熟知している。チームの強みである投手陣を大胆に起用し「長いシーズンとは違う。クローザーでも必要ならば五、六回に投入しないといけない」と勝負どころを逃さない。

 先発するメジャー通算124勝のマーキーは「気持ちを高めて、全てのボールに意味を持たせたい」と表情を引き締めた。主にユダヤ系米国人で構成されているが、ウェインスタイン監督は「国民の期待を背負うことは他の国と一緒」と強い責任感を口にした。