侍ジャパンの菊池涼介内野手(27)がドジャースタジアム型の天然芝の感覚を確かめた。野手陣では田中と2人が、内野天然芝を本拠地とする。前後左右のノックを受けながら、養ってきた感覚とのすり合わせを行った。二塁手シーズン補殺記録上位3位を独占し、昨季は失策わずか4の天然芝育ちが、スーパープレーで守備からリズムをつくる。

 1球1球、確かめるように菊池はノックを受けた。正面の打球から始まり、一、二塁間、二遊間、ボテボテ、ハーフライナー。打球は次々にグラブに吸い込まれていく。捕球すると素早く一塁に送球。ルーティン通り、二塁へのグラブトスも行った。発する言葉は多くない。汗を落としながら、芝と土の反応を見ていた。わずか15分ほどのノックで傾向をつかんだ。

 「マツダとは全然違うかな。乾燥もしているし、土が硬い。伸びてくるような感じがありました」

 決勝ラウンドが行われるドジャースタジアムと同じ形状のサブグラウンド。広島の本拠地マツダスタジアムと同じく、ダイヤモンドに天然芝が敷かれ、走路、守備位置は土だ。だが、菊池が受けた印象は違った。軟らかい黒土も含むマツダスタジアムとは違い「打球の死に方というか。こっちは芝でボテボテでも、土でまた速くなる感覚がある」。イレギュラーは少ないが、独特の感覚を抱いていた。

 柔軟に対応する。「たくさんノックを受けて慣れていきたい。他の選手よりは慣れていると思うから」と、まずは養ってきた感覚とすり合わせる作業を行う。さらに「チャージもしなくちゃいけないと思う。素手で捕ったりする準備もしていかないと」と続けた。死んだ打球が生き返る前に捕球する猛チャージや、打球の死に方次第ではメジャーリーガーばりのベアハンド(素手で捕球)も視野に入れる。

 ここから先も、守備で日本を救う。1次ラウンドから好プレーを連発。決勝ラウンドでも「今までやってきた通りにやりたい。変わらず守備からリズムをつくる」と意気込む。「燃えているけど、どこかに冷静に見ている自分もいる。自分らしく、前向きにやりたい」。身長171センチの侍が、強敵の攻撃を阻む、大きな壁となる。【池本泰尚】