脱スモールベースボールで決勝切符をつかむ。侍ジャパンが筒香嘉智外野手(25)を軸に据えた打線で、先行逃げ切りを目指す。カギを握る、米国先発ロアークの攻略について、志田宗大スコアラー(37)はパワー攻撃での大量得点に自信を見せた。

 米国との決戦を前にしても、侍の主砲は自然体だった。4番に座る筒香は「あまり緊張するタイプじゃないので、普段と変わらない。試合に勝つために、自分の力を出し切るだけ」と闘志を内に秘めた。

 20日はドジャースタジアムで約1時間半、汗を流した。ロサンゼルスは入団2年目から自主トレを重ねてきた場所。「違和感はないです」とさらりと言った。フリー打撃もいつも通り。逆方向から引っ張りの打球に移り、チーム最多の7本の柵越えを見せた。最後の1球は右中間席中段にたたき込み「体の状態は問題ないです」と泰然と構えた。

 2次ラウンドまでの6試合で打率3割6分4厘、3本塁打、8打点をマーク。「初めての投手との対戦は楽しい」と目を輝かす。初見の投球フォームやボール軌道に、自分の体がどう反応するか。日本の勝利だけを目指す打席での未知の相手との勝負。1球1球を、さらなる成長への糧としている。

 この力強さが、日本野球の概念を変える。侍の頭脳、志田スコアラーはスモールベースボールからの脱却を米国打破のカギに挙げた。先発ロアークはツーシームを多投する右腕。昨季は16勝を挙げているが「よく日本に来る外国人投手の感じ。米国投手陣の中ではチャンスのある先発だと思う」と分析した。

 その上で自信を持って言う。「スモールベースボールは、出来る。世界の野球に勝つには、それだけではダメ。パワーのある野球が出来るところを見せないと勝てない。それが出来る選手は、そろっている。4、5点じゃ、ないですね。10点は取れます」。筒香を中心に据えた力強い打線で挑む大一番。世界基準のパワー野球への進化を証明する、絶好機と捉えた。

 小久保監督も「先発から点を取って、リードした展開で後半に持ち込む」と先手必勝の青写真を描いた。左打者の配置をポイントに挙げ、秋山の先発起用が有力。機動力も絡めて好機を広げ、筒香、中田の主軸で大量得点を奪う。足技、進塁打、犠打…。日本野球の武器は、もうダイヤモンドの内側だけではない。打ち勝って、決勝の舞台に立つ。【佐竹実】