陽気な坂本勇がダッグアウトで突っ伏した。「1-0」でしか勝てない絶望的な力の差があった。「準決勝は雨天コールドがある。早め早めに試合を運ぼう」。小久保監督も現実を追い、勝機を探った。1回無死一塁の状況が来たら送りバントをすると決めていた。シナリオ通りの状況は作るも、青木、筒香が凡退。菊池のソロ本塁打以外は強い打球を打てず、動くボールにゴロの山を築いた。散発4安打。ミス絡みの2点は重すぎた。

 小久保監督 ミスをした方が負けるが、責めることはできない。日本は人工芝でのプレーがほとんど。あれだけの選手たちが芯で捉えられない。動くボール、威力がワンランク上。フォーシーム主体のリーグでプレーしている。どこで訓練すれば? となる。

 「すべて自分の責任」と背負ったが、誰が監督でも変わらない。世界に配信される公式会見で、正直に潔く打ち明けた。

 パワー不足は言うまでもない。天然芝に苦労するなら人工芝をはがし、土のグラウンドを増やし、練習するしかない。ボールの対応に苦労するなら、意図的に品質を変えてでもWBC球と全く同じにそろえるしかない。動くボールを操れるよう幼い頃から技術を磨き、個性豊かな投手を育てるしかない。日本人メジャーリーガーが所属に何の気も使わず参戦できるよう、侍ジャパンの地力を高めるしかない。課題を看過すれば世界との差が開く。今のままでは、頂点に立てない。【宮下敬至】