20年東京五輪の監督人事が動きだす。侍ジャパンの小久保裕紀監督(45)がWBC準決勝敗退後の会見で退任の意向を表明。今後はプロアマ合同で野球振興などに取り組む日本野球協議会を中心に、後任の人選に着手する。自国開催の一大イベントに向け、チーム編成を含めて、速やかに新たな体制づくりを進めていく。

 小久保監督は努めて冷静に、自身の進退を口にした。世界一奪還を逃し、記者会見では「2013年(10月)から、この大会に向けてやらせていただいた。契約は満了、ということです。解放感がある」と正直な胸の内を明かした。「やり切ったと言えばやり切ったが、勝てなかったのは事実」と、悔しさを押し殺すように話した。選手たちへは「リスクをかえりみず、日本のために使命感を持って戦ってくれた。『胸を張って堂々と帰国しよう』と伝えました」と感謝した。

 小久保監督の契約満了を受け、20年東京五輪に向けた後任人事が開始される。熊崎コミッショナーは試合後、敗退直後のタイミングを気遣った上で「関係者がじっくり知恵を絞り、考えることになる」とした。具体的な人選は、日本野球協議会下でセ、パ両リーグとアマの代表者が参加する侍ジャパン強化委員会で、4月から話し合う予定だ。

 東京五輪の団体他競技は、監督が続々と決定している。透明性だけでなくスピード感をもって進めていく。同委員会では、王貞治氏、山中正竹氏ら歴代の代表監督への個別ヒアリングも含めた有識者会議の設置も検討されている。

 選定の前段階として、就任期間も論点に上がる見通しだ。基本的には20年までの約4年間だが、2年間ずつで区切る案も浮上している。チーム編成についても五輪競技という点も鑑み、アマからの参加も議論される見込み。プロのみが出場するWBCとは異なる構成で臨む可能性もある。

 その中で有力な候補に挙がるのが、原辰徳氏だ。巨人を3度の日本一に導いた実績だけでなく、09年WBCでは世界一に輝き、国際舞台での指揮経験も十分。日本ハムの栗山英樹監督、元ソフトバンク監督の秋山幸二氏、前DeNA監督の中畑清氏らに加え、アマ球界の指導者も候補となりそうだ。国家的イベントの東京五輪。今回のWBCで逃した世界一=金メダル獲得へ、早急に監督を含めた新体制づくりを進める。