29日の世界戦(さいたまスーパーアリーナ)でWBC世界フライ級王者内藤大助(35=宮田)に挑む同級3位亀田興毅(23=亀田)は、「兄弟愛」で2階級制覇に向けて調整していた。三男和毅(18=亀田)の前日計量に付き添った次男大毅(20=亀田)は都内で26日、「仮想内藤」としてスパーリングの相手をしていたことを明かした。大毅は「やったからこそ分かった」と日本人で唯一、王者と12回を戦い知り得た弱点を助言。変則パンチ対策にも自信を見せた。

 打倒内藤に向けた影の参謀は大毅だった。大毅は19日のWBA総会で10月の世界戦で敗れた同フライ級王者デンカオセーン(タイ)との再戦を認められて以降、三男和毅の前日計量の付き添いで初めて公の場に姿を現した。WBAの決定に「素直にうれしい」と言いつつ「お兄ちゃんが終わってからやな」と、今は2日後に迫った興毅の世界戦だけを見据えていた。

 兄の2階級制覇は亀田家の悲願でもある。しかも、相手は自らの反則行為もあって07年10月に大差判定負けし、世間を巻き込む批判を受けることになった因縁の内藤だ。大毅は「王者は弱くない」と前置きしつつ「弱点はいっぱいある。やったからこそ分かったよ」とニヤリ。「ああしたら勝てたなってのを教えた。仮想内藤にもなったな。(回数は)結構やってるで、マジで」と自ら内藤となってスパーリングしていたことを明かした。当然ながら、弱点や助言した内容は「いっぱいあるけど、秘密や」。内藤の変則パンチ対策についても「見え方はある。まあ、試合を見たら分かるよ」と語った。

 その興毅はこの日、都内ジムで午後から約3時間、減量しつつ調整したという。大毅は「お兄ちゃんに対して、これほど自信を持ってリングに上がれるなって思うことはない」と兄の好調ぶりを代弁。「変則パンチは見えるよ。みんな楽しみにしててほしいな」と笑った。体験した「内藤大助」のすべてを伝授した大毅は、興毅が内藤の6度目の防衛を阻止して2階級制覇を達成することを信じて疑わない。【浜本卓也】