日本ボクシング界の17年がようやく動きだした。今年は3ビッグマッチに期待したい。

 まずは記録だ。今や現役世界王者の第一人者のWBC世界バンタム級山中が、先陣を切って初戦となる。22連勝中のカールソン(メキシコ)は、15位までのランカーにオファーして唯一手を上げた9位のメキシカンという。

 対戦相手不足に悩むのは強さ故だが、今回はV12がかかる。安定王者と見られた内山ですら達成できなかった。油断禁物と言いつつ、気も早いが、勝てば具志堅の日本最多連続防衛の大記録に、37年を経過して挑戦となる。

 11年に世界王者となり、13年の3試合を除いて年2試合ペースでこなす。新記録前にまずは今年具志堅に並べるか。切れ味、破壊力ある左ストレートで13個目の白星を連ねるシーンを見たい。

 2つ目は怪物対決だ。スーパーフライ級でWBO世界王者井上と、ロマゴンことWBC王者ゴンサレス(ニカラグア)との2団体統一戦。両陣営は以前から意欲的で年内対決が確実視される。

 ロマゴンは3月初防衛戦、次は昨年4階級制覇時のクアドラス(メキシコ)との再戦が見込まれる。井上は同級での試合は今年限りの方向で、2試合のようだ。12月と思われる決戦が待ち遠しい。

 昨年末の元世界王者河野との日本人対決は、力の違いを見せる6回TKOも抑えめに見えた。以前痛めた腰を警戒しながらの試合だったか。ロマゴン戦ではエンジン全開で、日本の怪物ここにありと世界に知らしめてもらいたい。

 3つ目は初挑戦だ。五輪金メダリストとして、プロでも世界一を目指す村田。WBOミドル級王者サンダース(英国)へ挑戦が間近とみられる。実は昨年12月に有明コロシアムで実現寸前だった。億単位の高額ファイトマネーも提示して合意目前も、本人だけが「うん」と言わなかったという。

 日本では重量級も世界では層の厚い人気のミドル級だけに交渉は難しい。村田が年末の前哨戦で12連勝を飾ると、陣営も英国開催も受け入れる考えを示した。マッチメークというこの世界ならではの難しさを示すが、それだけに実現すれば価値がある。

 金メダルと世界チャンピオンベルト。海外には多数いるが、日本人では初の2つの世界制覇。そのチャンスを実現だけでもすごいこと。ましてやベルトをつかめば。今年最大の見どころになる。【河合香】