プロレスはすごい。厳密に言えば、新日本プロレスやけど。プロレスの本担当でないので、えらそうなことは言えんのですが、2月10日にエディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館のこと)の大会(THE NEW BEGINNING in OSAKA)を取材して、あらためて痛感した。

SANADAの顔面にキックを決めるオカダ(撮影・和賀正仁)
SANADAの顔面にキックを決めるオカダ(撮影・和賀正仁)

 プロレス少年でした。高1で、テレビで田園コロシアム大会のハンセンVSアンドレを見て「なんじゃこりゃ?」とシビれてハマッた。金曜午後8時は「ワールドプロレスリング」。部活から帰宅してチャンネル権(死語)を独占し、翌日は学校でプロレス談議を楽しんだ。高2の6月には大阪城ホールに藤波VS前田戦を見に行ったりもした。

 レンタルレコード店(死語)で、プロレスの入場曲を集めたLP(死語)を借り、カセットテープ(死語)に録音した。長州の「パワーホール」とハンセンの「サンライズ」が好きやった。藤波の「ドラゴン・スープレックス」や山崎一夫の「UWFのテーマ」もええし、前田日明の「キャプチュード」はシングルレコード(死語)を買った。

 恥ずかしながら、就活で「週刊ファイト」(廃刊)編集部に電話したら「新卒は採用しません」と断られた。30年以上前ですが。

10度目の防衛を果たし金色のテープが舞う中、両手を広げるオカダ(撮影・和賀正仁)
10度目の防衛を果たし金色のテープが舞う中、両手を広げるオカダ(撮影・和賀正仁)

 10日の大阪大会は観衆5481人の札止め満員でした。この集客力はすごい。リングまでの花道には特設入場ゲートが設置され、特大ビジョンであおりの映像を流す。エンターテインメントとしては、昔から段違いに進化しているとはいえ、もう“金曜午後8時”はないのに…。お客さんの半分ぐらいは内藤哲也率いる「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」や、鈴木みのるの「鈴木軍」のシャツを着てるし、内藤の「スターダスト」や鈴木の「風になれ」(両方ともダウンロードして、スマホで聞いてます)が流れるとギャンギャン騒いで盛り上がる。

 たとえば大相撲は満員御礼続きやけど、他の多くのスポーツは集客に苦労してる。プロゴルフなんか、客足はさびしいもんです。同じバトル系で言うなら、プロボクシングもそう。ダブル、トリプルで世界戦を組んでも満員は約束されん。

 ゴルフのティーグラウンドで入場曲流したら、大変やし、プロボクサーがマイクでやり合ったら、これも大問題。それでも、新日本プロレスの会場にはきっと、学ぶべきものがある。もう53歳のおっさんでも、まだときめくものがあるんですからね。【加藤裕一】