「破壊王」故橋本真也さんの長男で大日本プロレスの橋本大地(25)が最近、決め技によく使うのがシャイニングウィザードという技だ。助走をつけての飛びヒザ蹴りで、武藤敬司(55)のオリジナル技だ。

 助走して片ヒザをついたその足を踏み台にジャンプして、相手の頭部にヒザをぶつける。技名の和訳「閃光(せんこう)魔術」も、いかにも天才武藤にふさわしい。それを同じ闘魂三銃士として活躍した故橋本さんの長男が使っている。父親譲りのハイキックや袈裟切りチョップよりも様になっていると思う。

橋本大地(左)と武藤敬司のシャイニングウィザード
橋本大地(左)と武藤敬司のシャイニングウィザード

 プロレス界の中でも、武藤は多くの後輩に影響を与えている。新日本プロレスの棚橋弘至や内藤哲也、その他多くのレスラーが、武藤の技や動きを研究し、自分の技に取り入れている。そんな武藤の代名詞の1つがムーンサルトプレス。コーナーのロープ最上段にリングを背にして立ち、バック転をして相手の体をプレスする大技だ。

 そのムーンサルトプレスを武藤は、3月14日のW-1後楽園大会を最後に封印する。3月末に両ヒザに人工関節を入れる手術をする。普段の生活で歩くことさえ困難なヒザの状況を改善するためだ。術後はまたプロレスができると医者には言われたが、その際ムーンサルトプレスは禁止された。それだけ、ヒザへの負担が大きいということだ。

武藤敬司のムーンサルトプレス
武藤敬司のムーンサルトプレス

 武藤は「オレもヒザへの影響を考えて本当はやりたくなかったが、リングに上がればファンの期待を感じるから、ついやってしまうんだ」と話していた。最近では、空港などでは車いすで移動し、試合前の花道を歩く姿も痛々しかった。手術を決断した武藤は「3月14日の試合が最後のムーンサルトプレスになる」と宣言した。

 3月14日、後楽園ホールの第7試合の8人タッグマッチ。武藤のムーンサルトプレスの最後の餌食になるのは誰か? 今後、武藤以上のムーンサルトプレスの使い手が現れるとしたら誰か? そんなことを考えながら、武藤の必殺技を心に焼き付けたい。【プロレス担当=桝田朗】