新日本プロレスが7月13日、来年4月6日(現地時間)に米ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン(MSG=約2万人収容)大会を米団体ROHと共催すると発表した。MSGは、プロレス界ではWWEがほぼ独占的に大会を開催してきた格闘技の殿堂。何より日にちと会場を知って頭によぎったのはWWE最大の祭典レッスルマニアに「近すぎないか」ということだった。

 19年のレッスルマニア35大会は4月7日(現地時間)に米ニュージャージー州のメットライフ・スタジアム(約8万人収容)で開催することが発表済み。NFLで親しまれる同スタジアムはニューヨークのマンハッタンから電車で30分程度で到着するほど近い。レッスルマニア週には同じ開催地域で裏レッスルマニアと呼ばれるイベント「レッスルコン」が開かれ、世界中からファンやマスコミが集結するのが恒例だ。今年も同34大会が開催されたニュージャージー州でROHや英団体RPWなどがレッスルコン枠で大会を行った。

 特にROHはレッスルマニア前日に「スーパーカード・オブ・オナー」というPPV大会を開いた。新日本との共催となった来年の大会名は「G1スーパーカード」に変更し、ライオンマーク色が強く打ち出された。米メディアによると共催大会の発表前にWWE側から一時、横やりが入ったとの情報もあった。

 一方のWWEはレッスルマニアの2日前にWWE殿堂入り式典、前日に傘下となるNXTの大会を開催し、ビッグイベントの機運を盛り上げる。ちなみに来年のNXTの前日大会は米ブルックリンのバークレイズセンターで行われる。MSGとはブルッリン橋のかかるイーストリバーを挟んで近い。新日本とROH共催大会はモロかぶりと言える。

 新日本の海外戦略はパワーアップを続けている。海外への動画配信とともに選手たち自身も積極的に海外進出する。最近でも、今月17日にはオカダ・カズチカがメキシコシティーでアレナメヒコ金曜定期大会に出場。同じ日には石井智宏も英団体RPWのロンドン大会に参戦してウォルターを下し、RPW英国ヘビー級王座の挑戦権を得ている。

 欧米を中心に認知度アップし、ファンを増やすことには地道な努力と時間が必要だ。難しい作業だが、数年かけ、新日本は着実に土台作りしている印象が強い。18年は米国内で計4大会を開催。そして9月1日には新日本のユニット「バレットクラブ」に所属するCodyとヤングバックス(マット&ニックのジャクソン兄弟)が主催する1万人興行「オールイン」大会(米シカゴ)にもオカダら新日本勢が多く参戦する。来年の新日本&ROHとWWEの大会接近は、来春の大きなインパクトになるだろう。19年4月6、7日。海外ファンの動向が楽しみでならない。【藤中栄二】