懐かしい響きだった。名古屋市内にある寺の1つの仏地院。3年間の空白をへて、今年から元大関若嶋津の二所ノ関部屋の宿舎になった。宿舎を提供し、通算51年目になる。

 地方場所で師匠の一番の悩みは宿舎探し。昔は大半が寺や神社。境内に土俵があるのが当たり前だったからだ。環境は変わり、土俵が減って借りるのが難しくなった。現在43部屋のうち寺社は22部屋になり、今年も4部屋が変わった。

 58年から本場所になった名古屋場所は、初代覇者が元横綱初代若乃花。引退して二子山親方になった62年から、仏地院に宿舎を構えた。定年まで30年間、2代目若乃花、隆の里らが泥にまみれた。稽古後は広間でマージャン、夜は酒盛り。隆の里が横綱に昇進の時も、行事の前に卓を囲んでいた。

 弟子だった花籠親方(元関脇太寿山)が、92年から引き続き20年間借りた。部屋を閉めた後、昨年までは場所前の連合稽古が恒例だった。宿舎を探していた二所ノ関親方に花籠親方が仲介すると、住職は二つ返事で歓迎してくれた。久しぶりに連日連夜にぎやかなちゃんこだそうだ。【河合香】