話題満載の九州場所が、幕を開ける。まず、注目を集めるのは、初の綱とりに挑む豪栄道(30=境川)だ。14年秋場所で大関に昇進後、今年名古屋までの12場所の勝率は5割2分、負け越し4度、2桁勝利も1度だけで「ダメ大関」という声も浴びた。だが、秋場所では初日から白星を並べて、日本出身力士では、96年秋の貴乃花以来20年ぶりとなる全勝で初優勝を飾った。

 最近では14年春場所の鶴竜が、初の綱とりを成功させているが、大関で安定した成績を残している稀勢の里がチャンスを逃し続けているように、綱をつかむのは超難関だ。それでも、豪栄道には浮き足だつ様子はなく「自分の相撲を取ることだけ考えて臨みたい」と、頭の中もシンプル。序盤で勢いづけば、可能性は高まる気がする。

 関脇高安(26=田子ノ浦)も名古屋で11勝、秋10勝と三役で2桁勝利を続け、今場所が大関とりになる。ノルマは12勝。気迫十分の相撲は、横綱大関陣も一目置いており、けがさえなければ昇進への期待が大きくなる。「横綱大関は、何か突出したものがある。自分もそういう飛び出るものを作っていきたい」と向上心もある。「まわしを引いてから攻める相撲を自分の武器にしたい」。豪栄道との同時昇進なら、93年春の曙、貴ノ花以来23年ぶりになる。

 そして、もう1人が横綱白鵬(31=宮城野)だ。1047勝の魁皇、1045勝の千代の富士に続く、史上3人目の通算1000勝まで、あと3勝。右足親指などを痛めた秋場所は横綱昇進後、初の全休。だが、秋巡業の途中から復帰し、戦える状態に仕上げてきた。「1000勝は3日目に決めて、あとは伸び伸びやりたい」と余裕十分に話す。

 他にも、新小結の御嶽海(23=出羽海)や、11場所ぶりに東前頭3枚目まで戻ってきた遠藤(26=追手風)らの相撲ぶりにも目が離せそうにない。平日なら、今からでも入場券の購入は可能。白熱した力士の戦いぶりを目の前で見ては、いかがだろうか。【木村有三】