東序二段3枚目の佐々木(16=伊勢ノ海)が最後の一番で勝ち越しを決めた。自己最高位の三段目への昇進を確実とし「ホッとしました」と笑顔を見せた。実は今場所初日、とある“騒動”に巻き込まれていた。

 西序二段3枚目の朝大門との一番。土俵際で浴びせ倒したかに見えたが、軍配は西方の相手。物言いがついても覆らなかった。ただ、審判長の説明が混乱させた。最初に「東方力士が寄り倒しており、軍配通り東方力士の勝ちとします」。間違いに気づいて「西方力士の勝ちです」と言い直したが“寄り倒し”と言ったことで、周囲から「誤審だ」との声が上がった。

 その声を耳にした師匠の伊勢ノ海親方(元前頭北勝鬨)は審判部に確認。すると「足が返っていた」と説明を受け、そこで納得した。「うっちゃりで負けたと思った」という佐々木も動画で再確認し「返っていた」と納得。決まり手は「すくい投げ」に訂正された。それでも「負けは負け。終わったことですから気にしていません」と潔かった。

 ただ、負け越せば、心配した親ら周囲は“誤審のせい”と思いかねなかった。「これで何も言われませんね」。肝っ玉が据わっている16歳に、最後は軍配が上がった。【佐々木隆史】