年末恒例の紙面企画「大相撲大賞」が9日付からスタートしました。基本的にはこの1年、フルで幕内に在籍した力士を対象に、さまざまなデータを掘り起こし、日刊スポーツ独自で各部門のNO・1を決めるという企画。各記者がさまざまなデータを基に、複数案を出し調べ上げました。ただ、紙面で紹介するのは5回だけ。そこで今回は、選考から漏れた「大賞」を紹介します。

 年間を通じて最高の勝率を挙げた部屋はどこか-。過去に「年間最多勝利数部屋」を紹介したことがありました。ただ当然ながら、白星の積み重ねということで、1場所15日、相撲を取る関取が多い部屋が有利なのは言うまでもありません。そこで今回は「勝率」をテーマにデータを洗い出しました。

 やはりここでも「横綱の勝ち越しは12勝」「大関の勝ち越しは10勝」などと言われるように、幕内上位の力士が多い部屋は、必然的に白星から黒星を引いた「貯金」が多くなることから、勝率も高いだろうという予測はつきました。ただし意外な伏兵? が出ることに期待して、500人以上の力士の年6場所の成績を1つ1つ、100数時間かけて抽出してみました。その結果は-。

 1位は「F1相撲」の異名を取った元関脇琴錦の朝日山親方が、名古屋場所からスタートさせた朝日山部屋でした。NO・1に輝いた理由は明白。この名古屋場所で序ノ口デビューを果たしたモンゴル出身の朝日龍(21)が、3場所で19勝2敗と星を荒稼ぎ。部屋所属の力士は3人で、朝日国(8勝6敗)、朝日錦(7勝13敗)と合わせ34勝21敗で勝率6割1分8厘。唯一の勝率6割超えでした。ただし、所属力士が少なく、1人がその段で突出した力を持っていれば「勝率」が高くなるのは当然のこと。プロ野球の個人成績で「規定打席」「規定投球回数」などがあるように、ここは勝手に「参考記録」とさせていただきます。朝日山親方、スイマセン…。

 やはり力士数6人の新興部屋・浅香山部屋が2位だった。まだ関取不在ながら、元大関魁皇の浅香山親方の指導の下、135勝97敗の勝率5割8分2厘。ケガから復帰した魁渡(20)が初場所の序二段優勝を皮切りに、31勝11敗と貯金稼ぎ。年間負け越しも2人が2点の負け越しで、魁渡以外の健闘が光った。

 3位以下は、想定内の部屋が名を連ねた。綱とりが続いた大関稀勢の里、大関とりに挑んだ関脇高安の2人で貯金64を稼いだ田子ノ浦部屋が3位(5割6分1厘)。4位は井筒部屋(5割5分9厘)、5位は宮城野部屋(5割5分5厘)と横綱を擁する部屋がランクインした。

 ただし日馬富士、照ノ富士の1横綱1大関を擁する伊勢ケ浜部屋は、ケガで苦しんだ照ノ富士の不振(33勝48敗9休)もあり5割を下回った(4割8分7厘)。6位以下のトップ10は、6位時津風部屋、7位東関部屋、8位佐渡ケ嶽部屋、9位貴乃花部屋、10位が錦戸部屋。勝率ジャスト5割の高砂部屋を含め、5割以上は延べ44部屋中、23部屋でした。