「成人の日」の9日、大人の仲間入りをした東前頭12枚目の佐藤改め貴景勝と、西十両5枚目阿武咲はともに黒星だった。

 18歳で角界入りし、初土俵から所要15場所目で新入幕の貴景勝は「(成人の日のことは)全然考えてなかった。相撲界に入ったら関係ない。まだ20歳と思わないで危機感を持ちながら1日1日大切にしようと思います」。新成人のイメージは「大学生って感じ。一番楽しいときじゃないですか」とちょっとうらやましそうだったが、「30歳までつらい思いをすればサラリーマンより偉くなれる。早くきつい思いするか、長く緩くやるか」と揺るぎない。

 夏巡業中に地元の成人式が行われた青森県出身の阿武咲は、参加しなかった成人式の代わりに? リオ五輪金メダリストらも足を運んだ神社で絵馬に願い事を書いた。内容は「かなうまでは秘密」といたずらっぽく笑ったが、新成人の実感は「ないですね」と素っ気ない。角界では関取になれば一人前とみなされるが「一人前じゃないです。(年齢が)上も下も関係ない」と言う。

 番付が全ての世界の新成人は、節目の感慨に浸ることはなかった。【佐々木隆史】