阪神・淡路大震災が発生した95年1月17日からちょうど22年の10日目。あの日、兵庫・淡路島で生まれた新十両照強(てるつよし、22=伊勢ケ浜)が、誕生日を初めて関取として迎えた。「特別な日」と位置づけた一番は琴恵光に寄り倒されて連勝は3で止まった。「勝ったら一番良かったのに」と悔しさをにじませつつ「自分の相撲が取れた。(観客の)盛り上がりはあったし、いい相撲だった」と前向きに振り返った。

 物心がついた頃には淡路島の復興は進んでいた。中学卒業後に角界入りしたころは震災があったという実感は少なかったという。だが、11年3月11日に起きた東日本大震災に衝撃を受けた。町を襲う津波やがれきだらけの町並み、避難生活を送る人たちの姿を映像で見て「こんなにすごいんだ」と意識が変わった。以来、地元や被災地に思いをはせるようになった。

 しこ名は師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)から「周りを照らすように強くなれ」との思いで付けられた。「阪神だけじゃない。東北も熊本の被災地も照らしたい」。5勝5敗。168センチ、115キロの小兵は「来年は幕内に上がりたい」と1年後を見据えた。【佐々木隆史】