たくましくなった教え子を、熱いまなざしで見つめていた。宇良の大阪・寝屋川五中時代の担任だった竹下智子先生(45)が、大相撲を初観戦。貴景勝に敗れたが「感動しました。場所前に稽古見学した時に『一生懸命やります』と言ってくれたんで、そういう相撲を取ってくれてうれしかった」と、声を上ずらせた。

 中学時代の宇良少年を、恩師は「のんびりした子。クラスでは癒やし系でした」と振り返る。驚いた出来事もあった。2年時の文化祭。有志で出し物をすることになり、宇良も友人と2人組で登場。相棒がジャグリングを披露した後、マットの上でバック転、前転宙返りと、アクロバットショーを独演した。「スマイリー宇良」という“芸名”を自ら名乗り、会場は大盛況に。当時150センチ、50キロほどで小柄なぽっちゃり体形だった宇良が、体操選手のような機敏な動きを見せたことに、竹下先生も「こんなんできるの!」と目を奪われたという。

 あれから約10年。173センチ、132キロまで成長し、さらに大きな相手と戦う教え子に、恩師は「勝ち負けより思い切ってやると宇良も言ってるので、そういう自分の相撲を取っていってほしい」と願った。【木村有三】