氷上のプリンセスに、力士たちも色めいた。フィギュアスケート本田真凜の来場を知って、まずは幕内最年少の20歳貴景勝が心を弾ませた。「めっちゃ好きっす。結婚したいっす」と、ややフライング気味にラブコール。大阪出身の勢も「彼女は京都出身ですか? 近いですね。僕も違う競技は勉強になると思ってるし、同じ関西出身だし機会があれば話をしたい」と“異業種交流”を熱望した。

 砂まみれになって番付を上がってきた関取衆の中には、さすがにフィギュア経験者はいないが、アイススケートに親しんできた北国育ちは多い。岩手・盛岡市生まれの錦木は「ある程度は滑れる。体重の掛け方で曲がれるから面白い」。モンゴル出身の千代翔馬は「冬はスケートが遊びだった。後ろ向きで滑れますよ」と意外な事実を明かした。

 八角理事長(元横綱北勝海)も、長野五輪スピードスケート金メダルの清水宏保らを輩出した北海道・十勝地方出身。「スケートが盛んだった。膝を強くするには一番いい」と懐かしがる。その上で、将来が楽しみな本田へ「違う競技を見るのも勉強になるんじゃないかな。楽しんで帰ってもらえれば」と優しい言葉を贈っていた。【木村有三】