元横綱大鵬の孫、東序ノ口18枚目納谷(18=大嶽)が元横綱朝青龍のおい、西同19枚目豊昇龍(18=立浪)を寄り倒しで破った。同学年のライバル対決で、高校、前相撲に続き3戦全勝。立ち合いから左を差し、前に出ながら、左四つで両まわしをつかみ、最後は170キロの体を預けた。泰然自若の取り口で、豊昇龍の激しさをのみ込んだ。

 「負けたくない相手です。絶対に勝つという気持ちでした」。それでも点数は「50点」-。「僕のベースは突き押し相撲。突き放していけなかったので」。2戦2勝同士の一番を制して3戦全勝。57年初場所で祖父が逃した序ノ口優勝が見えてきた。

 優勝なら、角界人生に弾みがつく。だが、横綱への道に序ノ口Vが必須かといえば、そうでもない。前相撲成績優秀者がその場所で本割に入る「新序」がなくなり「前相撲→翌場所序ノ口デビュー」の定着した56年初場所以降、同順序を経た横綱は北の湖(74年9月場所昇進)以降18人。その中で序ノ口優勝経験者は5人。要は“その先”が大事なのだ。納谷は今後の抱負を聞かれ「しっかり前に出る相撲を取っていきます」。角界の頂点へ、ブレずに進んでいく。【加藤裕一】