三段目付け出し100枚目格の木崎海(22=木瀬)が加美豊を押し出し、4連勝を飾った。強豪・鳥取城北高を経て、名門・日大で昨年の全日本選手権3位。今場所の新弟子43人中1人だけ、前相撲を取らずにデビュー。ただ中身は…。この日は土俵を下りる場所を勘違いし、支度部屋への道も間違えかけた。「ずっと東の支度部屋で、西が初めてだったんで…」と初々しい。

 木崎海には2歳上の兄がいる。東幕下7枚目木崎。アマチュアのルートは同じで、ポーランド開催の10年世界ジュニアで重量級優勝。この日は負けて2勝2敗となった。

 兄弟関取の歴史は江戸時代に始まる。初関取場所が1770年11月の釈迦ケ獄と1774年10月の稲妻が第1号。兄弟横綱になった若貴兄弟は10組目、今場所「初の双子関取」となった貴源治、貴公俊が19組目。現在、20組目に最も近いのがいずれも幕下の若隆景、若元春、若隆元3兄弟だ。

 木崎は「弟に負けられないって思いです」と言いつつ、15日間の過ごし方などの助言を送る。今場所の目標を「7戦全勝」という木崎海は「2年で関取に」。兄弟でいてライバル。切磋琢磨(せっさたくま)するには、間違いなく最高の存在だ。【加藤裕一】