今場所のポスターは、行司の後ろ姿の写真を使ったデザインだ。春を思わせる緑色の装束が話題となっているが、この後ろ姿は三役格行司の式守勘太夫(58=高田川)。立行司の式守伊之助がセクハラ行為で謹慎中で、初場所から結びの一番を合わせている。勘太夫は「背中で伝わるものがあったと、いいように解釈しています」と、少し恥ずかしそうに笑顔を見せた。

 一方で緑色へのこだわりが、今回のポスターにつながったことには喜ぶ。写真は昨年夏場所の装束だといい「緑や青は、力士のように大きな体を締まって見せる効果がある」と分析。緑色の装束を多く所有しているのは「幼少からミドリガメを飼うのが大好きだった影響。本能的に緑を好むようになった」という。

 ミドリガメ好きは物心ついたころから、現在まで続いている。生息していそうな池などへ出向いたり購入したり、地方場所にも連れて行く。今はちょうど不在だが、昨年9月までは継続的に飼っていた。「ミドリガメや緑色を見ると、子どものころの景色を思い出してリラックスできる」。判断力が求められる行司だからこそ、こだわりのをまとい、一瞬にかける。【高田文太】