相撲担当で1年。知人によく言われる。「オマエ、持っとるな~」。半笑いの問い掛けに、イラッとさせられ「相撲を取材してるんは山ほどおるがな」と思ったりする。しかし、この1年…いや半年は確かに異常な不祥事ラッシュやった。

 横綱の暴行事件が昨年11月の九州場所中に発覚し、1月には関取が無免許運転で捕まり、泥酔行司が後輩にキスして辞職に追い込まれ、3月春場所では、日本相撲協会を告発した親方の弟子が付け人をどついた。

 「相撲って話題豊富やね」と周りに言われ、何べんため息ついたことか。春場所も終わって、さすがに「もう打ち止めやろ」と思ったら、巡業の土俵で男性市長が倒れ、救命措置を行った女性に「土俵から下りてください」という場違いアナウンス。暴力、道交法違反、セクハラ、暴力の次は、土俵の女人禁制に絡む問題かい。貧すれば鈍すというか、地獄モードの負の連鎖というか。ここまで来たら、こっちもげんなりして、笑うしかない。

 そんなこんなの日本相撲協会。テレビのワイドショーのコメンテーター、MCに鬼の首をとったような態度でボロクソ言われ、その扱いたるや、ひどいもんです。曲がりなりにも現場で力士、親方らを取材している立場からすれば「どんだけお偉い方か知りませんが、そこまで言いますか?」と思ったりもする。

 確かにカラオケのデンモクで人を殴ったらあかん、無免許運転はあかん、人命最優先ちゅう判断ができんのもあかん。当然や。だから、ペナルティーを受け入れ、反省して、同じミスを犯さん努力はせなあかん。それも当たり前です。

 しかし、そもそも相撲界って、力士がまげを結って、浴衣着て、東洋の神秘好きの外国人が「オーッ! スモウレスラー!」と喜ぶ世界ですがな。江戸時代を思わせる外見、慣習の特殊性が魅力なわけで、そこが伝統であり、もっと俗っぽく言えば売りなんでしょ?

 一般社会の物差しを当てはめて、ならしていったら、最終的にただの太った力持ちの集団になってまうんちゃうかな。そんなことも思ったりするわけです。

 ダメなことは続きました。この勢いやとまだ、何かあるかもしれん(ヒーッ)。でも、大事なんは今後ですわ。ええことはええ、悪いことは悪い。決して協会の肩持つわけやないけど、是々非々で、堂々といきましょうや。【加藤裕一】