日本相撲協会が24日、「森永賞」を続ける森永製菓に感謝状を授与した。森永賞は初、夏、秋の東京場所限定の“ファン投票懸賞”で、その日1番の好取組に選ばれたものに懸けられる。1951年(昭26)初場所で始まり、67年にも及ぶ最古の懸賞でもある。

 投票方法は気持ちいいほどアナログだ。投票用紙がない。チョコ、キャラメルなどの森永製品の空箱に「今日1番」と思う取組と住所、氏名を書いて、午後3時半までに国技館内の投票箱へ。普段は100~200票、多くて約500票を担当者が紙袋で2、3度に分けて回収、記者クラブ内のテーブルで集計を行う。

 用紙のバラバラさが、また手作り感を醸す。ふぞろいな“ファンの声”を、この道12年の男性担当者は「私が言うのも何ですが、捨てたもんじゃないと思いますよ」という。人気力士の取組が多いかと思えば、そうでもない。遠藤絡みの取組は新三役の今場所こそ5度あるが、今まではほぼ圏外だった。場所の行方を左右する一番に票が集まる。白鵬全盛時は白鵬絡みの取組ばかりでマンネリともいえたが、それこそが“清き1票”だ。この日の森永賞は文句なしで「白鵬-栃ノ心」。SNS全盛の時代に、現場の熱を伝える懸賞が輝いている。【加藤裕一】