東十両筆頭照強(24=伊勢ケ浜)が24歳の誕生日から一夜明け、ご機嫌だ。「昨日は鶴太郎さんにちょっと会いました」。俳優や芸術家としてマルチな活躍をする片岡鶴太郎(64)。6年前には、同じ伊勢ケ浜一門の横綱白鵬に化粧まわしを贈呈したことがある。そんな縁もある鶴太郎から、前夜はお酒をプレゼントされた。「『期待しているよ』と。やっぱり励みになりますね」。

阪神・淡路大震災の95年1月17日、震源に近い兵庫・洲本市の病院で生まれた。17日の朝は神棚の前で手を合わせ、本場所の土俵に臨み、関取としては初のバースデー白星を挙げた。場所前には震災で親族を亡くした人たちから、今も激励の手紙が届くという。「それで震災のことを実感できる。淡路島の多くの人が喜んでくれれば」。6日目を終え5勝1敗。勝ち越せば新入幕が大きく近づく。「あんまり意識していない。それこそ一番一番ですよ」。もう24歳だから、あれから24年がたつ。身長169センチの希望が、今年も淡路を、被災地を明るく照らす。【佐藤礼征】