「今日はオレが、だいてやる」。何とも妖艶な香りが漂う言葉を発していたのは、東前頭筆頭の朝乃山(25=高砂)だ。先場所の初優勝で人気、知名度ともに大幅に上がっただけに、ファンが色めき立ちそうなフレーズだが、実はこれ、朝乃山の故郷富山県の方言。「だいてやる」は「おごってやる」と意味だった。冒頭の言葉は「意味分かりますか」と、報道陣にクイズ形式で出題したものだ。

朝乃山は近大時代は大阪で、高砂部屋入門後は東京で過ごしてきた。冒頭の言葉を言われた際には「一応『どっちの意味ですか』って聞きます。決まって『おごってやる』という意味ですが」と笑って明かした。先場所の優勝賞金は貯金したしっかり者。それでも気分転換を兼ね「だきまくってます」と、若い衆を連れだって食事に行っている。

現在は「人前で話す時、なまらないように気を付けている」と、地元の友人、家族らと話す以外、方言を出さないように気を付けている。優勝後に帰郷した際には、旧知の年配女性から「だいてやる」と言われたが、冗談で「無理、無理」と即答。「ばかもん、富山弁の方じゃ」と返され、笑いに包まれたという。多忙な中で故郷を感じ、癒やされたようだ。【高田文太】