19日からプロ野球が開幕した。中継を見ていると、ソフトバンクとの第3戦で満塁弾を放ったロッテの井上晴哉内野手が、ベンチに戻って今季から取り入れたというパフォーマンスを披露。大相撲の力士が懸賞を受け取る際に行う、手刀を切るような所作だった。本物のおすもうさんが懸賞を受け取る姿も、待ち遠しく感じた。

3月に無観客で開催された大相撲春場所では、15日間の懸賞本数が前年の1938本から1068本と半減した。それまである幕内力士を指定して、15日間懸賞を出していた企業は「業界全体が厳しい状況にあるので、3月は取りやめました」と説明。春場所に続いて無観客で開催される見通しの、7月場所(19日初日、東京・両国国技館)の買い付けも取りやめる方針を明かした。3月の春場所まで人気力士の取組に懸けていた企業も「7月場所は検討中です」。無観客で懸賞の広告効果が薄れることに加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響は3月以上に大きくなっているという。

逆に「こんなときだからこそ」と、懸賞をかけ続ける企業も。ドラッグストア大手のウエルシアは、春場所に続いて7月場所でも懸賞を出す方針だ。「日本の国技である大相撲を応援させていただきたい」と広報担当者。17年初場所から、店舗がない九州場所以外の5場所で、1本7万円の懸賞金を毎日4本出している。「日本を元気にしていただけるようなダイナミックな取組を期待しています」と、7月場所に向けて調整する力士らにエールを送った。

大相撲に懸賞を出して約20年という、お茶漬けなどで知られる永谷園も同じだ。7月場所も毎場所通り約200本の懸賞を出す予定。広報担当者は「大相撲を応援するスタンスは変わらない」と明かした。毎場所と同数の懸賞を出した春場所後には、大相撲ファンから好意的な意見も寄せられたという。「3月と状況は変わりつつありますが、力士の皆さんの力になれれば」と話した。

7月場所まで1カ月を切った。さまざまな企業にも支えられながら、角界は開催に向けて歩んでいく。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)