伝統ある部屋に新風が吹く。伊勢ノ海部屋に入門したモンゴル出身のバットトクトホ・トゥルトクトホ(23)が、秋場所前に新弟子検査を受けて合格。長い歴史を持つ同部屋で初の外国出身力士が誕生した。伊勢ノ海親方(元前頭北勝鬨)は「部屋のいい刺激になっている」と声を弾ませた。

鳥取城北高を経て同志社大に進学。入門のきっかけは同大関係者からの紹介。同大との付き合いは、10代目伊勢ノ海親方(元前頭柏戸)時代から続くという。現部屋付きの甲山親方(元前頭大碇)と立川親方(元関脇土佐ノ海)も同大から伊勢ノ海部屋に入門している。

江戸の大相撲で初めて縦番付がつくられた1757年(宝暦7)に「初代伊勢ノ海」が存在した伝統部屋。同大出身者は5人目だが、外国出身力士は初。1部屋1人の外国出身枠や部屋の伝統を考えると悩ましかった。しかし「入門前に面接をしたら真面目でいい子だった。2人のOBもいるから大丈夫。この子に限って引き受けた」と受け入れを決意。すでに部屋での生活にもなじみ、相撲も幕下ほどの力があるという。「部屋がいい方向に傾いてくれれば」と期待をかけた。【佐々木隆史】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)