ジョージア出身の若者が、角界入りを目指して入門できる相撲部屋を探している。アマチュア相撲ヨーロッパチャンピオンに輝いたアミラン・ツィコリゼ(23)は、知人を頼り5月に来日。複数の部屋に訪れて入門先を探したが、今回の約1カ月間の滞在では見つからなかった。力士になれる年齢上限が迫る中でも、希望は失わない。近く再来日し入門先を決めたいという。

帰国前の6月中旬、都内でアミランに会った。大好きな相撲について質問すると、英語と独学で学んだ日本語を駆使して一生懸命に語る。好きな力士には「北の湖、千代の富士、白鵬」を挙げ、現役幕内力士の栃ノ心(34=春日野)や元小結の臥牙丸らジョージアから海を渡った先輩たちに憧れていることを熱弁した。自分もいつかスポットライトを浴びる日を夢見てやまない好青年に映る。

幼い頃は柔道に打ち込んだ。「新しいチャレンジがしたい」と、相撲大会に出るようになったのは5年ほど前。16年にモンゴルで行われた世界選手権U-18部門で優勝すると、アマチュア相撲界のトップ選手に名乗り出た。21年度は欧州選手権のU-23部門で優勝、シニア部門では3位、さらに欧州杯のシニア部門で優勝した。199センチ、170キロの恵まれた体格で「押しも四つもどっちもできる」という万能さが武器だ。

日本の相撲界に入りたかったが、世界的に拡大が続いた新型コロナウイルスにより来日が遅れた。気がつけば、23歳。日本相撲協会が定める新弟子検査受検の年齢制限はスポーツ経験者を対象に23歳未満から25歳未満に緩和される特例があるため、少し時間は残されている。ただ、同協会の内規により外国出身力士は1部屋1人と決まっているため、入門先を探すだけでも一苦労だ。

入門先が決まらず少し落ち込んでいるように見えたが、今後について尋ねると「あきらめるつもはないよ」と強調した。相撲の魅力について「ただ、体がデカいだけではないけない。心技体を合わせて向かっていく、相撲の文化が好きなんです」と目を輝かせた。そんな若者の行く末に注目せずにはいられない。【平山連】

ジョージアから角界入りを目指すアミラン・ツィコリゼ。好きな日本語は「頑張る」(撮影・平山連)
ジョージアから角界入りを目指すアミラン・ツィコリゼ。好きな日本語は「頑張る」(撮影・平山連)