亀田興毅特集
2006年8月2日WBA世界ライトフライ級王座決定戦
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大橋秀行氏の分析「想像以上の減量」

- ランダエダに判定勝ちし新王者となった亀田。目尻から流れる血が涙のよう
<プロボクシング:WBA世界ライトフライ級王座決定戦12回戦>◇2日◇横浜アリーナ◇1万5000人
初防衛戦こそ亀田の真価が問われる。元WBA、WBC世界ミニマム級王者・大橋秀行氏(41=大橋ジム会長)が、亀田の試合を徹底分析した。苦戦した最大の要因が1階級落としたことによる減量苦にあった指摘。その影響で持ち味のスピードが失われ、パンチも切れを欠いていたと語った。議論を呼んだ判定については許容範囲内と強調した。
ボクシングの判定は難しい。テレビ視聴者の中には、亀田の判定勝利に疑問を持つ人が多かったのだろう。試合後、携帯電話には、判定に不満を持つ知り合いから何回もかかってきた。だが、しかし、自分の採点は引き分けだった。亀田が1~2ポイント勝っていてもおかしくはない。
亀田が明らかに落としたラウンドは、終了間際にダウンした1回、フラフラのピンチに陥った11回と12回。最初と終わりが大ピンチだったから「亀田の負けだ」と思うのも無理もない。しかし、それ以外のラウンドの判定は、意見が分かれる。ランダエタの手数を取るか、亀田のボディーブローを取るか。すべてジャッジ個人の主観になる。声援に押されてしまうこともある。いわゆる「地元判定」を責めることはできない。
微妙は判定になった大きな理由の1つとして、亀田の減量苦があったはずだ。開始からいつものスピードがなかった。パンチのキレも欠いた。本人も戸惑ったのだろう。1回終了間際に、カウンターの右フックをもらってダウンしたのも、その影響だろう。
フライ級(50・8キロ)からライトフライ級(48・9キロ)に下げた。わずか1・9キロの違いだが、軽量級では数字以上の大きな影響が出る。特に亀田は育ち盛り。筋肉もしっかり付いている。体重は落ちにくいはずだ。試合2日前にハンバーガーを食べるパフォーマンスをしたが、あれはサービス精神だったのだろう。
減量に失敗すると、体の反応も鈍くなる。ボクシングはコンマ何秒の違いで、パンチをもらってしまう世界だ。減量苦で体が動かないときは、頭では分かっていても、体がついていかない。亀田がいつも以上にパンチをもらった原因はそこにあるのではないか。
一方でランダエタは亀田とはまったく逆だった。ミニマム級からライトフライ級に上げた好影響が目立った。ミニマム級時代には6~7回でスタミナを切らすことが多かったが、減量苦から解放されたこの日は違った。無尽のスタミナを見せ、亀田を最後まで苦しめた。パンチの威力も増していたようだ。
キャリアの差も出た。4度目の世界戦だったランダエタには、試合前から余裕があった。前日計量では、亀田におむつとおしゃぶりを渡し、心を乱すことに成功した。逆に亀田は初の世界挑戦ということでいつもの余裕はなかった。明らかに硬くなっていた。試合序盤は、前日の怒りを引きずっていたのかもしれない。1回のダウンも冷静さを欠いた影響もあったはずだ。
微妙な判定ではあったが、亀田は世界クラスのハートを証明した。驚異的な粘りと根性を見せた。1回終了間際のダウンは、ダメージが大きかった。並の選手なら2回でKOされているだろう。なのに前に出て打ち合った。最後まで下がらなかった。経験のなかった11、12回のピンチも気迫で乗り切った。フラフラになっても、倒れなかった。最後まで立ち続けなければ、判定勝利もなかった。
世界戦までは順風満帆なプロ生活だった。試合中のピンチも経験したことがなかった。今回の試合で10試合分以上の勉強をしたと思う。もともと、この日は世界王座決定戦。微妙な判定もあり、亀田にとっては、次の試合が、王者として本当の真価が問われる。ボクシングでは、運も実力のうちだ。次は、亀田らしいKOを見せてほしい。
[2006年8月3日10時50分 紙面から]
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