ボクシングの大橋ジムは24日、WBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(21=大橋)が、5月に計画していた初防衛戦を延期すると発表した。日本選手最短のプロ8戦目で世界2階級制覇を達成した昨年12月の試合で右拳を負傷。治療を優先するため、「数カ月間」延期するという。12年10月のデビューから約3~5カ月の間隔で試合をこなしてきた井上にとって、初の長期ブランクとなる。

 負傷の原因となったのはオマール・ナルバエス(アルゼンチン)戦の1回開始直後に放った右のオーバーハンドだった。4度のダウンを奪い、2回KO勝ちするきっかけを作った強打で、人さし指の付け根付近を痛めた。同じく右拳を痛めた13年4月のプロ3戦目とは異なる箇所といい、試合直後には「当たった瞬間にビリッという電気のような痛みが走った。初めての感覚だった」と話していた。

 元日から走り込みを開始した井上に対して、陣営は1月上旬から対戦予定相手との交渉を開始するなど、準備を進めてきた。同23日に都内で行われた年間表彰式に出席した際に井上は「1位の選手とやりたい。強い選手と戦いたい」と、16戦全勝(8KO)の当時1位のアローヨ(プエルトリコ)との対戦を望んだ。だが、予想よりも回復が遅れ、陣営は将来を見据えて無理をしない選択をしたとみられる。