井岡一翔(26=井岡)が「ジャスト仕上げ」で世界王者に返り咲く。3階級制覇を懸けたWBA世界フライ級王者フアンカルロス・レベコ(31=アルゼンチン)との世界戦は今日22日、ゴング。21日は大阪市内で調印式と前日計量に臨み、世界戦では自身初めてパンツを脱いだ全裸状態でリミットの50・8キロで1発パスした。元2階級王者の叔父弘樹氏(46)が果たせなかった3階級制覇へ「必ず勝つ」と宣言した。

 予定より10分ほど早く始まった計量で、会場がざわめいた。リミット50・8キロでパスした王者レベコに続いて、パンツ1枚姿の井岡が体重計に乗る。同じくリミットで止まるはずの計測器が、その前後で揺れ始めた。

 体重オーバーを指摘する王者陣営から「NO! NO!」と声が飛ぶ。一瞬、驚くような表情になった井岡だが、ちゅうちょなく推定40グラムのパンツを脱ぎ出した。世界戦では自身初の全裸計量。恥じらうことなく量り直すと、計測器の揺れは収まった。見守ったWBA立会人のシン・ヤンソップ氏が「OK!」と声を掛けた。きっちり仕上げてきた井岡にとっては、まさにジャスト50・8キロでの1発クリアとなった。

 思わぬ前哨戦を終えた井岡は「それだけ相手も必死だってことやと思います」と動揺なく言った。「正々堂々戦いたいので、パンツを脱いで納得してもらえるなら、それでいい。無事に、何とかクリアして良かったです」。

 井岡家にとって、通算6度目の3階級制覇挑戦になる。4度失敗した叔父弘樹氏は「僕は4回やって4回負けた。一翔には何が何でも勝ってもらいたい」と期待を込めた。昨年5月にIBF世界フライ級王者アムナトに敗れた井岡にとっては、2度目のチャレンジ。青コーナーに立つ挑戦者らしく、リングシューズには初めて青色を採用した。「偉大なチャンピオンと戦えることは光栄だけど、必ず僕が勝って3階級制覇を達成したい」。井岡家の悲願へ、迷いなく言い切った。【木村有三】

 ◆井岡家の3階級挑戦 元WBC世界ミニマム、WBAライトフライ王者の叔父弘樹氏は、93年6月グリマン戦から4度3階級制覇に挑むも全敗。夢かなわず98年末に現役引退した。一翔はWBC、WBAミニマム、WBAライトフライ獲得後、昨年5月にIBFフライ級王者アムナトに挑むも1-2で判定負けしてプロ初黒星を喫した。今回が井岡家では6度目の挑戦。3階級制覇達成なら日本人では亀田興に続く2人目、18戦目は世界最速となる。

 ◆井岡の計量 パンツを脱いで全裸になったのはプロ6戦目の10年10月・日本ライトフライ級王座決定戦以来2度目、世界戦では初。同試合では日本同級1位瀬川正義に10回TKO勝ちしている。計量での体重オーバーは1度もない。