ボクシングのWBA世界スーパーフェザー級王者内山高志(35=ワタナベ)が4日、都内で10度目の防衛戦(6日、東京・大田区総合体育館)の予備検診に臨んだ。2日(日本時間3日)に米ラスベガスで行われた「世紀の一戦」をテレビ観戦。勝利したメイウェザーの鉄壁のディフェンスに刺激を受けた。イメージを膨らませて、挑戦者ジョムトーンの攻撃を完封する。

 血が騒いだ。内山は余韻が残る「世紀の一戦」について、目を輝かせて語った。「すごい試合だった。雲の上の感じというか、ラスベガスがいつも以上の熱気に包まれていた。ああいうのを見ると、自分もあの舞台でやりたいと思う」。日本人として初めてWBAからスーパー王者に認定された名王者。たぎる衝動を抑えきれなかった。

 試合直前に感じた刺激は、リングで生かす。勝負を分けたのは世界一と言われるメイウェザーのディフェンス力。パッキャオの攻撃を数センチ頭を動かしてかわすと、ロープ際ではダンスを踊るようなフットワークで攻め手を摘んだ。内山にとってもそれは理想に近い戦い方。迎え撃つジョムトーンはパッキャオと同じ左構えとあり、イメージはより膨らんだ。「打たせずに打つ。それを今回の試合で実行したい」と力を込めた。

 仕上がりは万全だ。検診の結果、昨年大みそかのV9戦と比べ、胸囲が2センチアップした。衰え知らずの35歳は「ずっと継続してトレーニングをしている。少しずつ体力、パワー面も上がっている」と自信の表情だ。渡辺会長も挑戦者との11センチの胸囲差を指摘。「後半になれば体格差が生きてくる。最終回ぐらいに倒して欲しい」と期待を込めた。

 4月には山中がKOでV8を果たし、井岡は3階級制覇を達成。今月に入っても村田、三浦が豪快KOで勝利を収めるなど、ボクシング界への注目は高まっている。勝てば日本人3人目のV10。絶対王者が、一流の技術で節目の記録を打ち立てる。【奥山将志】