「K-1 WORLD GP 2015 〜サバイバルウォーズ〜」(9月22日、東京・後楽園ホール、日刊スポーツ新聞社後援)の、70キロスーパーファイトで中国のティエン・シンとの対戦する松倉信太郎が、インタビューに応じた。

 -昨年11月以来のK-1出場が決まりました。試合が決まった時の心境を聞かせてください。

 松倉 11月にジャオ・フーカイに勝つことが出来て、フーカイは中国人だからあんまり外国人っぽい感じがしなかったけど、あの選手ってめちゃくちゃ強いじゃないですか。そういう相手に勝ったんで、自分としては70キロの初代王座決定トーナメントに選ばれると思っていたんですよ。でも試合内容やKrushでの負けもあって選ばれなくて…。最初にトーナメントの出場メンバーが発表された時、俺、岩盤浴にいたんですけど、その場で「はっ?」ってキレまくりました(苦笑)。そのあと5月のKrushでも負けて連敗して「もう格闘技を続けても意味ないかな?」ってくらい落ち込んだんですけど、1回気持ちが吹っ切れて、9月にK-1のオファーをもらったんで、今は試合が楽しみですね。自分でも今の自分の位置は分かっているつもりなんで、いかに変わったところを見せられるかだと思います。

 -7月の初代王座決定トーナメントへの出場がかなわず、うっぷんがたまっていたようですね。

 松倉 はい。今まで自分は強い選手に勝って、次にもう1回強い選手と戦って負けて、チャンスを逃すことが多かったんですけど…。でもトーナメントに出る外国人選手のメンバーを見て「これだったら日本人は勝てないからいいや」と自分に言い聞かせて、そしたらお母さんから「日本人みんなやられちゃったね」と連絡が来て(笑)、ある意味、あのタイミングでトーナメントに出なくてもよかったのかなと思います。1日3試合もやらなくても、マラット・グレゴリアンと戦うチャンスがあるかもしれないしって。

 -今年は2月、5月とKrushで連敗が続いています。松倉選手はこの結果をどう受け止めていますか?

 松倉 結論から言うと、今の俺はすごく調子いいです。というのも自分が弱い理由が分かったんですよ。こういうインタビューでも最初の頃は何にも考えないで素でしゃべっていたから、みんなと違う感じだったと思うんですけど、途中から自分を演じだすというか、正しい答えを考えてしゃべるようになったんです。そういう「自分を作る」のが試合にも出てて、わざと相手を睨んだり、オラオラ系の倒しに行く試合をしてみたり…。ようは自分に合わないことばっかりやってたんですよ。それで最近はようやく自分の性格を自分でも分かってきて。いい人そうに見えていい人じゃない、とか(笑)。だから試合でもわざわざ顔を作ってオラオラしなくても、笑いながら人を殴れるタイプなんで、そういうことを意識して練習するようになったら、すごく楽しいし、スパーリングの動きも全然違います。これで試合で出なかったら多分ダメだと思うんで、早くこの状態で試合がしたいです。

 -周りが求めるものやこうあるべきだというものに縛られ過ぎたんですね。

 松倉 そうだと思います。大雅みたいな言葉数少ないけど試合になったら行く選手がかっこいいなと思ったこともあるし。あと格闘技をやっているヤツって性格的に癖とかコンプレックスがあって、それが強くなりたいっていう原動力になっていると思うんですよ。でも俺は生まれも育ったところも、そういうヤツらとは違うんですよね。でもそういう自分の色が分かってきたら楽になりました。

 -そしてそれが格闘技の動きにも反映されている、と。

 松倉 はい。それがモロに出るのが試合で、映像とか見ていても固いんですよね。でも今の俺はもう大分変わってきたので、それを試合で見てほしいです。

 -今大会では中国のティエン・シンとの対戦が決まり、国際戦で再起戦が組まれる形になりました。

 松倉 やっぱり70キロのトーナメントを見ても、あの日本人の中で誰かが強くなってグレゴリアンに勝ったり、未来があるかって言われたら客観的に見てもなさそうな気がするんですよ。年齢的にも俺と中島(弘貴)さんくらいかなって。今まで俺にはチャンスがあると思ってやってきて、でもチャンピオンになれなくて「俺ってそこまでの選手じゃないのかな」と思うこともありました。でもまたチャンピオンを目指して頑張ろうと思ったら、いろいろ良くなってきたことがあって、今の自分だったらチャンピオンになれるかもしれないと思います。だから次の試合ではそれを見せたいです。

 -7月のトーナメントでは「日本の70キロは大丈夫か?。と思われる結果でしたが、今回の試合で「日本には松倉がいる。というところを見せたいですか?

 松倉 はい。もし俺がトーナメントに出ていたら優勝はしてなかったと思うけど、絶対に1回戦は勝ってたし、KO負けもしていなかったと思います。今の俺は本当に強くなったから、それを試合で出したいっすね。ただ今回も相手が中国の選手で、今の中国の選手ってめちゃくちゃ強くなっているんですけど、どうしても外国人選手っぽくないから、あんまり伝わらないじゃないですか。だからマジで強い選手と戦うってことは分かっててください(笑)。

 -とにかく今は試合を見てもらいたいという気持ちですか?

 松倉 今の俺が言っても、ただの勘違いしている弱いやつになっちゃうんで、9月の試合を見て判断してください。

 ◆松倉信太郎(まつくら・しんたろう) 1991(平3)年11月12日、米国フロリダ州マイアミ生まれ。25戦15勝(7KO)10敗。K-1甲子園2009 70キロ王者。178センチ。TRY HARD GYM所属

 入場料金など詳細および問い合わせは、K-1=http://www.k-1wg.com/へ。