Aブロックで内藤哲也(33)がブーイングを浴びながらトップに立った。AJスタイルズを破り、3勝1敗の勝ち点6で柴田、ファレに並んだ。26日の広島大会の棚橋戦に続く、優勝候補撃破にも、やる気のない態度と非道な戦いぶりでファンを敵に回した。本隊のエース候補から悪への変貌を遂げる内藤に、結果はついてくるのか。

 珍しい光景だった。G1の舞台で、優勝候補を撃破した内藤に、客席からブーイングが浴びせられた。それだけではない。リング中央で、勝ち名乗りを与えようと、腕を取った海野レフェリーをボディースラム。さらに、顔面ドロップキックと非道ぶりはエスカレートした。

 リング上でマイクを握ると「あせんなよ。もう誰もオレを止めることはできない。今年のG1の優勝は、ロス・インゴベルナブレス、内藤だ」と宣言した。「ロス-」は、メキシコのプロレス団体CMLLで結成された悪の組織。試合に勝っても、観客から嫌われたルーシュ、ラ・ソンブラらが結成し、6月にメキシコに渡った内藤も加わった。

 棚橋、中邑、オカダ、真壁の四天王の壁を越えられず、自分を見つめ直すためにメキシコに渡ったはずだった。オカダが出現するまでは、次代のエースと期待されたが、13年のG1制覇後も鳴かず飛ばず。いつしか、試合に勝ってもブーイングを浴びるようになり、同じ境遇の悪の組織に入ったようだ。

 5日の大阪城ホール大会から、やる気のない態度に不審な発言を繰り返し、このG1で、かつてのベビーフェースは完全に変身を遂げた。この日のAJ戦も、スーツ姿で登場し、試合では相手を怒らせながら、新技の後方宙返り式DDTで仕留めた。「どう取るかは見ている人の勝手」という内藤の、不気味な快進撃が続く。【桝田朗】